...得々と諸君の前に僕の発見を誇らうとする人の声に外ならぬかも知れない...
芥川龍之介 「大久保湖州」
...得々と森の鳥の前へ現れた...
芥川龍之介 「翻訳小品」
...その頃流行してきた「上海小唄」を口笛で得々とやっていた...
犬田卯 「瘤」
...また吉弥の旦那をもって得々としていたのである...
岩野泡鳴 「耽溺」
...見る目嗅ぐ鼻を持ったミルキ閣下に一杯喰わせて得々としている男が...
海野十三 「十八時の音楽浴」
...馬上に得々としてゐた...
田畑修一郎 「医師高間房一氏」
...「ちッとは淋しかろうサ」トまた繰返して言ッて、得々と微笑して、「だが已(やむ)を得ざる次第じゃないか? マア積ッてもみるがいい、旦那もそうだが、おれにしてもこんなケチな所にゃいられない、けだしモウじきに冬だが、田舎の冬というやつは忍ぶべからずだ、それから思うと彼得堡(ペテルブルグ)、たいしたもんだ! うそとおもうなら往(い)ッてみるがいい、お前たちが夢に見たこともないけっこうなものばかりだ...
イワン・ツルゲーネフ Ivan Turgenev 二葉亭四迷訳 「あいびき」
...僕はいい年をしながらカッフェーに出入し給仕女に戯れて得々としているという事にされてしまった...
永井荷風 「申訳」
...弱電気に感電死を書いて得々としていた事があるが...
野村胡堂 「銭形平次打明け話」
...得々としてそれを引いて行く銀六の後ろ姿を見て...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...幽霊でも無きやそつと忍び込める道理はありませんね」八五郎は得々として説くのです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...多年の野望を遂げんとして得々としていた...
河本大作 「私が張作霖を殺した」
...本人は得々として無上の安楽世界なるが如し...
福沢諭吉 「教育の事」
...身に余る面目に昇は得々として満面に笑いを含ませ...
二葉亭四迷 「浮雲」
...その間のわたしの苦しみと来たら――なんて得々として吹聴するだらう――解つてゐますよ...
牧野信一 「「悪」の同意語」
...二時間の試験時間をたつぷり費して得々として出て来た...
牧野信一 「夏ちかきころ」
...お山の大將のほこりを得々としてひけらかした...
水上滝太郎 「大阪の宿」
...得々として、司馬懿仲達の如き何する者ぞと、ひとり暢気(のんき)に豪語をならべておるではないか...
吉川英治 「三国志」
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