...しかし又彼の友だちの前に得々と話して聞かせるには何か気のひける幸福だった...
芥川龍之介 「大導寺信輔の半生」
...今日新説と称し革命的思想と唱えて得々としてあるいはこれを口にし...
内村鑑三 「ヨブ記講演」
...運河説を得々と述べる者は...
海野十三 「地球を狙う者」
...得々として慈善心をほころばせて財布を開ける...
添田唖蝉坊 「乞はない乞食」
...新聞を読むと、ちゃんと書いて在ることなのに、なぜみんな、あんなに得々と、欧洲の状勢は、なんて自分ひとり知っているような顔をしているのでしょう...
太宰治 「俗天使」
...「ちッとは淋しかろうサ」トまた繰返して言ッて、得々と微笑して、「だが已(やむ)を得ざる次第じゃないか? マア積ッてもみるがいい、旦那もそうだが、おれにしてもこんなケチな所にゃいられない、けだしモウじきに冬だが、田舎の冬というやつは忍ぶべからずだ、それから思うと彼得堡(ペテルブルグ)、たいしたもんだ! うそとおもうなら往(い)ッてみるがいい、お前たちが夢に見たこともないけっこうなものばかりだ...
イワン・ツルゲーネフ Ivan Turgenev 二葉亭四迷訳 「あいびき」
...得々として人ごとにこれを見せ廻っているらしい...
中島敦 「狼疾記」
...その報道を得々として逢う人に吹聴(ふいちょう)する以上は...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...毒を盛る氣になつたのも無理はないよ」元町の仙太は得々として言ふのです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...そっと忍び込める道理はありませんね」八五郎は得々として説くのです...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...「生活と芸術」について旧時代の批評家が得々と述べたものは...
原口統三 「二十歳のエチュード」
...その間のわたしの苦しみと来たら――なんて得々として吹聴するだらう――解つてゐますよ...
牧野信一 「「悪」の同意語」
...山崎の合戦には刀傷をうけたなどゝいふことを得々として彼に物語つたが...
牧野信一 「貧しき日録」
...投票日には得々として「青い顔をしてゐる他の連中の意久地のねえこと!」――「あまり突飛な最高点で...
牧野信一 「貧しき日録」
...二十余日を経て五尺ばかりの大幅(たいふく)見事に出来上りたるつもりにて得々として帰り直(ただち)に浅井氏に示す...
正岡子規 「墨汁一滴」
...得々として次兄に渡した...
柳田国男 「故郷七十年」
...得々として、司馬懿仲達の如き何する者ぞと、ひとり暢気(のんき)に豪語をならべておるではないか...
吉川英治 「三国志」
...わがおあるじを頌(たた)えることに得々となって...
吉川英治 「私本太平記」
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