...寺院のあたりを徘徊(はいかい)する人の遠い足音はいよいよ稀(ま)れになってきた...
ワシントン・アーヴィング Washington Irving 吉田甲子太郎訳 「ウェストミンスター寺院」
...少年の殺した吾一と云ふ男が姉の嫁入先きをねらつたとかねらはないとか云つてゐるが実は徘徊するも覗ふも吾一はその日は少年の隣村の親類まで行つたかへりに一寸茶店に憩つてゐたのだと云ひ...
伊藤野枝 「女教員の縊死」
...西洋諸国の各地に徘徊する幽霊の絵姿など...
岩村透 「不吉の音と学士会院の鐘」
...足音を忍ばせながら花下を徘徊(はいかい)する光景は...
谷崎潤一郎 「細雪」
...白地の浴衣(ゆかた)の人影がそこらを徘徊(はいかい)していたり...
谷崎潤一郎 「痴人の愛」
...頬冠(ほおかむり)の人肌寒(はださむ)げに懐手(ふところで)して三々五々河岸通(かしどおり)の格子外(こうしそと)を徘徊(はいかい)する引四時過(ひけよつすぎ)の寂しさか(『絵本江戸土産』巻六)然らずば仲之町(なかのちょう)の木戸口(きどぐち)はあたかも山間の関所(せきしょ)の如く見ゆる早朝の光景(江戸百景の中(うち)廓中東雲(しののめ))なり...
永井荷風 「江戸芸術論」
...うろ/\徘徊(はいくわい)してゐる人相(にんさう)の悪い車夫(しやふ)が一寸(ちよつと)風采(みなり)の小綺麗(こぎれい)な通行人の後(あと)に煩(うるさ)く付き纏(まと)つて乗車を勧(すゝ)めてゐる...
永井荷風 「すみだ川」
...わたくしが折々小石川の門巷を徘徊する鳥さしの姿を目にした時は...
永井荷風 「巷の声」
......
中島敦 「河馬」
...其(そ)の日(ひ)も巡査(じゆんさ)は勘次(かんじ)の家(いへ)のあたりを徘徊(はいくわい)したがそれでも其(そ)の東隣(ひがしどなり)の門(もん)を叩(たゝ)いて穿鑿(せんさく)するまでには至(いた)らなかつた...
長塚節 「土」
...腹の中で徊(ていかい)する事の馬鹿馬鹿しいのに気がついて...
夏目漱石 「門」
...閑雅な雜集が徘徊してゐる...
萩原朔太郎 「定本青猫」
...播州(ばんしゅう)侯のお名を偽って遊里を徘徊(はいかい)したが...
久生十蘭 「鈴木主水」
...必ずや徊去る能(あた)わざる執着を感ずる無くんばあらずであろう...
牧野富太郎 「植物記」
...ロンドン等の地下鉄道を徘徊する猫の尾が...
南方熊楠 「十二支考」
...真宗嗣(つ)ぎ立て即位式に先導せしむると鳴吠(めいはい)徘徊して意忍びざるがごとし...
南方熊楠 「十二支考」
...予は屡(しば/\)此(この)門前を徘徊(はいくわい)して帰るに忍びなかつた...
與謝野寛、與謝野晶子 「巴里より」
...またこの坂東地方を徘徊(はいかい)していたり――そして今日は将門方の軍使の一名となってこれへ臨んでいる...
吉川英治 「平の将門」
便利!手書き漢字入力検索
この漢字は何でしょう??