...あゝこの言葉――このむき出しな有頂点(うちょうてん)な興奮した言葉こそ葉子が男の口から確かに聞こうと待ち設けた言葉だったのだ...
有島武郎 「或る女」
...そしてその翌日からはかわずの飴屋がどこへ行っても待ち設けられた...
岩野泡鳴 「猫八」
...だれか追つかけて來るものを待ち設けるやうに後を振り返りながら...
鈴木三重吉 「赤い鳥」
...さつきの看護婦だらうかと待ち設けたが...
鈴木三重吉 「赤い鳥」
...かねて待ち設けたヘツケル教授の紛れのない手蹟であつた...
薄田泣菫 「茶話」
...固唾を飲んで待ち設けた...
薄田泣菫 「茶話」
...私の後から来る人を待ち設けていたが...
高浜虚子 「富士登山」
...そこではこの常識を無視出来るような何か新しい思想上の意匠が待ち設けられる...
戸坂潤 「世界の一環としての日本」
...待ち設けているかの観があった...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...しばらくのあいだ囚人がなんと答えるかを待ち設けていた...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...くそ真面目に待ち設けていた...
ドストエーフスキイ 米川正夫訳 「地下生活者の手記」
...其の翌年には待ち設けたる初期の議会は召集せられたりき...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...かねてこれを待ち設けていたこととて...
トルストイ 米川正夫訳 「クロイツェル・ソナタ」
...けれども待ち設けている当人はいつまで経(た)っても出て来る気色(けしき)はなかった...
夏目漱石 「行人」
...しかし彼の待ち設けた冒険談はこれで一頓挫(いちとんざ)を来(きた)したも同然なので...
夏目漱石 「彼岸過迄」
...四十日には味(うま)い魚を買ひ溜めて待ち設けてゐたのに...
正宗白鳥 「入江のほとり」
...自分から待ち設けてゐるやうなのろくささで...
室生犀星 「めたん子傳」
...必ずその本体をあばいてくれよう――」心密かに待ち設けていると...
吉川英治 「剣難女難」
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