...「シカゴまで参るつもりですの」「僕も……わたしもそうです」岡は待ち設けたように声を震わしながらきっぱりと答えた...
有島武郎 「或る女」
...ごく小さな事でも目新しい事件の起こる事のみが待ち設けられていた...
有島武郎 「或る女」
...待ち設けていた葉子は今まで正面に向けていた顔をしとやかに向けかえて田川夫人と目を見合わした...
有島武郎 「或る女」
...遊び過ごしたりして小言を待ち設けながら敷居を跨ぐ時なぞには殊に...
有島武郎 「お末の死」
...お袋の話はなかなかまわりくどくって僕の待ち設けている要領にちょっとはいりかねた...
岩野泡鳴 「耽溺」
...待ち設けられし春汀は行かず...
大町桂月 「十和田湖」
...その他(ほか)の俳優も折角自分が楽みにして待ち設けた台辞(せりふ)が無いので...
薄田泣菫 「茶話」
...待ち設けた敬治君がきた...
種田山頭火 「其中日記」
...『何もかも実に愚かしいきわみだ!』もはや何一つ待ち設けるものもない今になってみると...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「接吻」
...彼は彼女の結婚するのを待ち設けていたにちがいない...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「大ヴォローヂャと小ヴォローヂャ」
...それから翌日になつて此方は待ち設けもせぬのに指井が約束の時刻にやつて來て『サア行かふ』と促す...
徳田秋聲 「媒介者」
...殘っている連中もやはり何ごとかを待ち設けるらしく...
ドストエーフスキイ 神西清訳 「永遠の夫」
...しばらくのあいだ囚人がなんと答えるかを待ち設けていた...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...どんなにいまわしい穢れがあの女を待ち設けているにもせよ...
ドストエーフスキイ 米川正夫訳 「地下生活者の手記」
...本当にどうかして人類が滅亡しなければいいですねえ!』もうさん/″\聞き飽きた不誠実な反対説を待ち設けていたかのように...
トルストイ 米川正夫訳 「クロイツェル・ソナタ」
...自分の前途に待ち設けている生活を想って...
トルストイ 米川正夫訳 「クロイツェル・ソナタ」
...陽気な馭者――わたしはいい心もちで旅行をつづけながら自分を待ち設けていることなどは...
トルストイ 米川正夫訳 「クロイツェル・ソナタ」
...この変り者を待ち設けていたように風変りな店が控えていた...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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