...少し隔つた彼方から...
石川啄木 「鳥影」
...壁の彼方から聞える主人夫婦の聲に...
石川啄木 「天鵞絨」
...彼方から全速で走って来るのが見える...
梅崎春生 「幻化」
...ぽっかりと眼を醒ました時には開け放たれた硝子窓の彼方からは美しい夏の朝の陽の光が射し込んで爽やかな風がそよそよとカーテンを弄(もてあそ)び窓の上のカーネーションの葩(はなびら)に戯れて眠り足りた私の頬に心地よく触れていった...
橘外男 「逗子物語」
...と彼方からも此方からも小さい手が五本も六本も出て...
田山花袋 「歸國」
...眼のあたりに河口の彼方から砂を巻いた突風が吹きあげて来るのを悟つた...
牧野信一 「鬼の門」
...町の彼方からも同じ声が八方から竜巻のやうに湧きあがつた...
牧野信一 「サクラの花びら」
...モダーンと云ふ言葉は当時未だ海の彼方から将来されてゐなかつた...
正岡容 「旧東京と蝙蝠」
...男の肩の彼方から甲谷の方を覗いていた...
横光利一 「上海」
...するとそれ等は滑稽な樣子をして互ひに眺めやつたり、頸を八方へして、彼方から、此方からとお互ひに査べ合ひでもするやうであつた...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
...彼方から近づいて来た...
吉川英治 「上杉謙信」
...彼方から一頭の逞(たくま)しい鹿毛(かげ)を飛ばして...
吉川英治 「三国志」
...ただならぬ血相をたたえて彼方から歩いて来た...
吉川英治 「三国志」
...彼方から一面の若武者が来て...
吉川英治 「三国志」
...ところへ、彼方から、「待たれよ! 双方戦いは止めたまえ」と、声をからして叫びながらかけてくる一騎の人があった...
吉川英治 「三国志」
...すると彼方からひとりの童子が歩いてきて...
吉川英治 「三国志」
...山陽道から追ッついて来たのかもしれぬ」やがて彼方からのものが近づくほど...
吉川英治 「私本太平記」
...白い前掛をした女が彼方から走って来た...
吉川英治 「旗岡巡査」
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