...往々にして我等の生涯を困惑と雍塞と彷徨と昏迷との境に導く...
阿部次郎 「三太郎の日記 第三」
...空しく伝統の圏内に彷徨して指を啣(くわ)えて眼を白黒(しろくろ)する外はなかった...
内田魯庵 「四十年前」
...Doing the London の重要な一つであるかの名だたるメイフェア彷徨を実行しながら...
谷譲次 「踊る地平線」
...といふよりも彷徨する...
種田山頭火 「其中日記」
...夜明け近くまで夢現の境に彷徨することがあった...
豊島与志雄 「或る女の手記」
...雪の曠野を彷徨してる飢えた狼だけでなく...
豊島与志雄 「現代小説展望」
...私はそのなかを夢遊病的に彷徨し...
豊島与志雄 「情意の干満」
...偶然過去の世のなつかしい幻影を彷彿(ほうふつ)たらしめたミューズである...
永井荷風 「※[#「さんずい+(壥−土へん−厂)」、第3水準1-87-25]東綺譚」
...村落(むら)の者(もの)が去(さ)つた後(あと)には小(ちひ)さな青竹(あをだけ)の線香立(せんかうたて)からそこらの石碑(せきひ)の前(まへ)からぢり/\と身(み)を燒(や)いて行(ゆ)く火(ひ)に苦(くるし)んで悶(もだ)えるやうに煙(けぶり)はうねりながら立(た)ち騰(のぼ)つて寂寥(せきれう)たる黄昏(たそがれ)の光(ひかり)の中(なか)に彷徨(さまよ)うた...
長塚節 「土」
...どうやらその夜の出來事を彷彿(はうふつ)させるのでした...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...その同じ場所を訪れた時の記憶もヒリヒリと眼のまえに彷徨(さまよ)っていた...
原民喜 「秋日記」
...……僕の影もいつとはなしにこの線路のまはりを彷徨つてゐるのではないか...
原民喜 「心願の国」
...八十度圏の彷徨中に起ったことは...
久生十蘭 「南極記」
...イズムの中(うち)に彷徨(うろつ)いてる間(うち)や未だ駄目だね...
二葉亭四迷 「私は懐疑派だ」
...または一種の透視的な夢幻界を彷徨(ほうこう)したものであるかという区別を判明(はっきり)することができなかった...
室生犀星 「香爐を盗む」
...今なお眼前に彷彿(ほうふつ)する...
山本笑月 「明治世相百話」
...その屍体の風貌の自己に彷彿(ほうふつ)たるものあるを認めしに相違なかるべく...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...船橋を彷徨(ほうこう)したが...
吉川英治 「かんかん虫は唄う」
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