...他の意識内容は皆情調(シテインムング)の姿に於いて其背景を彩るのならば何の論もない...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...悲惨な終局――それはかならずわれわれの目に浮かんでくる性格と生活を彩るはずである...
リットン・ストレチー Lytton Strachey 片岡鉄兵訳 「エリザベスとエセックス」
...晴れてゐたら月がさぞ美しく渓を彩るであらうと思はれるやうな...
田山花袋 「耶馬渓の一夜」
...それも彼女の情感を彩るだけで...
豊島与志雄 「意欲の窒息」
...その時代を彩る華やかな色彩でなくてはならない...
直木三十五 「大衆文芸作法」
...それが聞こえることがその郷愁の空を彩る一幻想としてしか知覚されない状態に人が常住あるとしたら...
中原中也 「ヂェラルド・ド・ネルヴァル」
...しかしその短い秋を彩る木々の葉の色は...
中谷宇吉郎 「ウィネッカの秋」
...音声を彩るべし」と教へ...
野上豊一郎 「演出」
...その恆常性は結局瀧つ瀬を彩る虹のそれ以上のものではあり得ぬであらう...
波多野精一 「時と永遠」
...縁を華やかに彩るのがアラセイトウ...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「玉手箱」
...在り得べく色彩る軽羅だ...
牧野信一 「新興芸術派に就いての雑談」
...個性に彩る器は全き器となることはできぬ...
柳宗悦 「工藝の道」
...床に飾られ室を彩るためのものではなく...
柳宗悦 「雑器の美」
...模様に身を彩るではないか...
柳宗悦 「民藝四十年」
...生命をよろこばす光輝をいつぱいに彩る...
吉川英治 「折々の記」
...脂粉(しふん)波を彩る――と詩人の歌った通りにである...
吉川英治 「平の将門」
...醜悪を彩る絢爛(けんらん)さに...
吉川英治 「山浦清麿」
...それを彩る血潮との対照が...
蘭郁二郎 「鱗粉」
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