...」と言うとともに、恩地喜多八は疲れた状(さま)して、先刻(さっき)からその裾に、大きく何やら踞(うずく)まった、形のない、ものの影を、腰掛くるよう、取って引敷(ひっし)くがごとくにした...
泉鏡花 「歌行燈」
...精神的教養は形のないものである...
伊丹万作 「顔の美について」
...なつかしいという形のない心が...
伊藤左千夫 「春の潮」
...左の耳が殆んど形のないまでに潰されていた...
大阪圭吉 「坑鬼」
...形のない形が見えるのです...
高神覚昇 「般若心経講義」
...形のない精神の作用(はたらき)を四つにわけたものです...
高神覚昇 「般若心経講義」
...之に反して物質は形のないものとして...
戸坂潤 「現代唯物論講話」
...形のない見馴れない奇怪なものが...
豊島与志雄 「道連」
...形のない趣(おもむき)を判然(はっきり)と眼の前に創造したような心持がしてさらに嬉しい...
夏目漱石 「思い出す事など」
...気力の尽きかけた彼の存在はまるで形のない影のようなものに違なかった...
夏目漱石 「道草」
...始めから形のない...
夏目漱石 「門」
...その外(ほか)はみな形のない雲とうつろな深みであつた...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...何か形のない物を視詰めてゐる...
牧野信一 「鱗雲」
...今漠然と心を躍らせた形のない力が...
牧野信一 「鏡地獄」
...形のないあれやこれが今にも形になりさうな気忙しさに打たれ...
牧野信一 「冬の風鈴」
...あたくしは思想なんて形のないものは...
宮本百合子 「傷だらけの足」
...彼らはただ未だ形のない泥んこを捏(こ)ねているだけなのだと...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...人間の種子からまず母の胎内に形のない果実を生じ...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
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