...それで、私はもうそういう方面に実は見切りをつけまして、誰にも相談せずに、先生のところへ飛び込んで、お願いにまいったんでございます」「私に御相談をされましたことは、当分の間、どなたにも秘密にしておいた方がいいだろうと思います」「探し出されて、やっと父の危篤に間に合ったというよりも、自分から看護に帰って来たという風にした方がよろしいでしょうね...
大倉※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子 「恐怖の幻兵団員」
...当分の間蛇毒研究所の金庫の中へ預ってもらっておいて...
橘外男 「ウニデス潮流の彼方」
...然しさしあたり、妙子が父兄の許可なくして三好と云う男と関係を結び、身重になったと云うことが、世間へ知れては工合の悪い事情があるので、当分の間、二人は交通しないで貰いたい...
谷崎潤一郎 「細雪」
...薄暗い蚕室(さんしつ)の中で――腐刑(ふけい)施術後当分の間は風に当たることを避けねばならぬので...
中島敦 「李陵」
...それから当分の間は是公の事を...
夏目漱石 「満韓ところどころ」
...それぎり当分の間は沈黙した...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...その後当分の間尾行をつけられるといううるささで...
久生十蘭 「フランス伯N・B」
...当分の間は最も有望な領域であるが...
平林初之輔 「昭和四年の文壇の概観」
...当分の間夜は一歩も出ることは出来ないのか……先刻...
牧野信一 「池のまはり」
...君も当分の間一人の知己を失ふわけだね...
牧野信一 「断想的に」
...が泣く間もなく、パンの棒を小脇に抱えた妻がマメイドに続いて現れ、「あなたは、否応(いやおう)なく、当分の間は、その装(なり)でいなければなりませんよ...
牧野信一 「吊籠と月光と」
...当分の間、当り前の言葉なんて皆な止めにしてしまつて、中世紀のことにでもしてしまはうぢやないの――さうだ、妾、ほんとうに変装して来るから、守夫さんもそのつもりで沢山言葉を考へておいてね...
牧野信一 「南風譜」
...そしてこの騰貴は当分の間毎年減少するからである...
トマス・ロバト・マルサス Thomas Robert Malthus 吉田秀夫訳 「人口論」
...当分の間でも――闇太郎は...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...当分の間お婆さんと一緒に住むという事で...
水上滝太郎 「果樹」
...それが、右のような大衆の前で、どんなに歯ぎしりをしてナニワ節などと太刀打ちをしてみても、当分の間、勝目は全く無いだろう...
三好十郎 「恐怖の季節」
...これは当分の間だけで...
夢野久作 「街頭から見た新東京の裏面」
...なお当分の間ではあるが...
吉川英治 「宮本武蔵」
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