...博士は、茶の間の自分の座に戻ってから、彼の考えを隆夫と、その母親に説明し、当分の間、隆夫は、この家に居ないことにしておいた方がよいと、結論を述べた...
海野十三 「霊魂第十号の秘密」
...当分の間蛇毒研究所の金庫の中へ預ってもらっておいて...
橘外男 「ウニデス潮流の彼方」
...病人の突然の死去によって当分の間いろいろな家事上の雑務が生じ...
谷崎潤一郎 「鍵」
...当分の間は眼が放されないことであらうと...
谷崎潤一郎 「猫と庄造と二人のをんな」
...鼻なしのまゝ当分の間生かして置いて...
谷崎潤一郎 「武州公秘話」
...それが、当分の間、私は薄気味わるくて、市木さんの庭へ行くことをやめた...
豊島与志雄 「絶縁体」
...その使い途(みち)も!」その後当分の間...
中島敦 「名人伝」
...済まないけれど当分の間...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...その後当分の間尾行をつけられるといううるささで...
久生十蘭 「フランス伯N・B」
...……私はそれから当分の間誰れの顔を見るのもこちらから避けるようにしていた...
堀辰雄 「幼年時代」
...当分の間は子供の夜遊びは厳禁しようと各戸で申合せたさうだつた...
牧野信一 「鬼涙村」
...それが源因でもなからうが当分の間一室に閉ぢ籠つて蒲団を被つてゐた...
牧野信一 「毒気」
...当分の間、当り前の言葉なんて皆な止めにしてしまつて、中世紀のことにでもしてしまはうぢやないの――さうだ、妾、ほんとうに変装して来るから、守夫さんもそのつもりで沢山言葉を考へておいてね...
牧野信一 「南風譜」
...これから当分の間湘南の方に行つて...
牧野信一 「〔編輯余話〕」
...然(しか)し今度妹が当分の間逗留(とうりう)の積りで帰つて来たのも...
宮地嘉六 「煤煙の臭ひ」
...これは当分の間だけで...
夢野久作 「街頭から見た新東京の裏面」
...……しかも、その後任教授がまだ決定致しておりませず、適当な助教授も以前から居ないままになっておりました結果、総長の命を受けまして、当分の間、私がこの教室の仕事を兼任致しているような次第で御座いますが……その中でも特に大切に、全力を尽して御介抱申上げるように、正木先生から御委托を受けまして、お引受致しましたのが、外(ほか)ならぬ貴方で御座いました...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...松琴尼にたいしては、もとよりその一端のみをかたり、自分たちの考えは、秀吉からのいいつけであるとなして、「ご迷惑ではあろうが、当分の間、ここをわれらの宿に拝借したい...
吉川英治 「新書太閤記」
便利!手書き漢字入力検索