...土産(みやげ)はただはち切れさうに熟した葡萄の一と籠――この粒立(つぶだ)つた葡萄の實にお鳥の張り詰めた血の若々しさを偲びつつ...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...そこは珍しい織物を張り詰めた狭い室で...
田中貢太郎 「賈后と小吏」
...模様入りの人造革を張り詰めた室内の壁には...
谷譲次 「踊る地平線」
...私の持つ不定形の力は震え目一杯張り詰めた...
O. H. ダンバー O. H. Dunbar The Creative CAT 訳 「感覚の殻」
...張り詰めた双眸でアン・バーリーの鏡をじっと見つめていたのだ...
O. H. ダンバー O. H. Dunbar The Creative CAT 訳 「長い部屋」
...張り詰めた乳房を啣(ふく)ませると...
徳田秋声 「黴」
...最後に氷の張り詰めた大地に坑(あな)を掘って...
中島敦 「狼疾記」
...緑の羅紗(らしゃ)を張り詰めた真中を...
夏目漱石 「虞美人草」
...縁起が悪いから止(よ)しました」舞葡萄(まいぶどう)とかいう木の一枚板で中を張り詰めたその大きな唐机(とうづくえ)は...
夏目漱石 「道草」
...急に張り詰めた気が弛(ゆる)んだものか...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...一生懸命氣を張り詰めたんだ...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...張り詰めた氣が緩(ゆる)んだものか...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...張り詰めた気が緩んだものか...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...張り詰めた気がゆるんだようにグッタリと椅子の中へ落ちこむ...
久生十蘭 「葡萄蔓の束」
...鉄網(かなあみ)で二重に張り詰めた...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...矢代は張り詰めた青い顔のまま暫らくそこに立っていた...
横光利一 「旅愁」
...身共に新九郎と申すような舎弟はない」「違った!」新九郎は張り詰めた心を...
吉川英治 「剣難女難」
...小判で張り詰めたような馬鹿げた豪奢(ごうしゃ)が...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
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