...張り詰めたる胸の動悸今猶静め兼ね候...
石川啄木 「渋民村より」
...それは鉄板を張り詰めたような黒い厳(いかめ)しい建物で...
田中貢太郎 「令狐生冥夢録」
...模様入りの人造革を張り詰めた室内の壁には...
谷譲次 「踊る地平線」
...斯(かう)した女の張り詰めた心も同情するに足りる...
田山録弥 「初冬の記事」
...笹村は張り詰めたような心持で言い出した...
徳田秋声 「黴」
...張り詰めた乳房を啣(ふく)ませると...
徳田秋声 「黴」
...最後に氷の張り詰めた大地に坑(あな)を掘って...
中島敦 「狼疾記」
...張り詰めた二人の姿勢は崩(くず)れた...
夏目漱石 「虞美人草」
...上(あが)り框(がまち)の下を張り詰めた綺麗(きれい)に光る竹だの...
夏目漱石 「彼岸過迄」
...縁起が悪いから止(よ)しました」舞葡萄(まいぶどう)とかいう木の一枚板で中を張り詰めたその大きな唐机(とうづくえ)は...
夏目漱石 「道草」
...急に張り詰めた気が弛(ゆる)んだものか...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...肝心(かんじん)の柳吉さんは殺されてしまつて――」張り詰めた氣もゆるんだか...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...張り詰めた気がゆるんだようにグッタリと椅子の中へ落ちこむ...
久生十蘭 「葡萄蔓の束」
...切れる寸前まで張り詰めたと思うと...
アーネスト・ヘミングウェイ Ernest Hemingway 石波杏訳 Kyo Ishinami 「老人と海」
...然も張り詰めた心で――凝と法悦に浸つてゐるより他はないのであります...
牧野信一 「嘆きの孔雀」
...柱の間を分厚いフリント硝子(ガラス)で張り詰めた奥には...
夢野久作 「暗黒公使」
...身共に新九郎と申すような舎弟はない」「違った!」新九郎は張り詰めた心を...
吉川英治 「剣難女難」
...小判で張り詰めたような馬鹿げた豪奢(ごうしゃ)が...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
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