...張り詰めた心を以つて修業の生活を送つてゐるのか...
阿部次郎 「三太郎の日記 第三」
...張り詰めたる胸の動悸今猶静め兼ね候...
石川啄木 「渋民村より」
...土産(みやげ)はただはち切れさうに熟した葡萄の一と籠――この粒立(つぶだ)つた葡萄の實にお鳥の張り詰めた血の若々しさを偲びつつ...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...それは鉄板を張り詰めたような黒い厳(いかめ)しい建物で...
田中貢太郎 「令狐生冥夢録」
...模様入りの人造革を張り詰めた室内の壁には...
谷譲次 「踊る地平線」
...斯(かう)した女の張り詰めた心も同情するに足りる...
田山録弥 「初冬の記事」
...笹村は張り詰めたような心持で言い出した...
徳田秋声 「黴」
...人馬も通えるように堅く張り詰めた河の氷もようやく溶けはじめたころで...
徳田秋声 「縮図」
...張り詰めた二人の姿勢は崩(くず)れた...
夏目漱石 「虞美人草」
...上(あが)り框(がまち)の下を張り詰めた綺麗(きれい)に光る竹だの...
夏目漱石 「彼岸過迄」
...縁起が悪いから止(よ)しました」舞葡萄(まいぶどう)とかいう木の一枚板で中を張り詰めたその大きな唐机(とうづくえ)は...
夏目漱石 「道草」
...張り詰めた気が緩んだものか...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...肝心(かんじん)の柳吉さんは殺されてしまつて――」張り詰めた氣もゆるんだか...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...天井も床も四方の壁も凡て凸凹な鏡で張り詰めた小さな正立方体の部屋が重刑者を投ずる牢で...
牧野信一 「鏡地獄」
...然も張り詰めた心で――凝と法悦に浸つてゐるより他はないのであります...
牧野信一 「嘆きの孔雀」
...張り詰めた気持はなく...
山本周五郎 「五瓣の椿」
...鉄網(かなあみ)で二重に張り詰めた...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...身共に新九郎と申すような舎弟はない」「違った!」新九郎は張り詰めた心を...
吉川英治 「剣難女難」
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