...ブリヂット そんなに長く放浪(たび)をしていてそんなに弱りもしないのは不思議だわねえ...
ウイリヤム・バトラ・イエーツ 松村みね子訳 「カスリイン・ニ・フウリハン(一幕)」
...「松村です、松村は確かだけれど、あやふやな男ですがね、弱りました、弱ったとも弱りましたよ...
泉鏡花 「開扉一妖帖」
...テオドラ嬢の父は事毎に外相からの内諭で娘の意を嚮(むか)えるに汲々として弱り抜いていたが...
内田魯庵 「四十年前」
...目は流れこむ血に視力も弱り...
江戸川乱歩 「影男」
...大弱りに弱つてしまつた事があつた...
薄田泣菫 「茶話」
...夜をこめて鶏(とり)の空音(そらね)ははかるとも世に逢坂(おおさか)の関は許さじ魂(たま)の緒よ絶えなば絶えねながらへば忍ぶることの弱りもぞするなどという恋歌は四季の分類に入れようとしても入れようがありません...
高浜虚子 「俳句とはどんなものか」
...私は実にこの「手」にかかっては弱りました...
谷崎潤一郎 「痴人の愛」
...もう弱り切っていました...
中里介山 「大菩薩峠」
...そこで竜之助は、「せっかくですが、拙者にも智恵がありません」男は泣かぬばかりに、「弱りました、全く弱りました、この分では、私は殺されてしまいます……いっそ、女を殺してと思いましたけれど、私にはそれだけの力がございません、ああ、もうやがて帰って参りましょう、私は、怖ろしうございます、私はあの女の息をかぐのが、大蛇(おろち)の息をかぐような気持がします、あの女にそばへよられると、道成寺(どうじょうじ)の鐘のように、私の身が熱くなって、ドロドロにとけてしまいそうなんでございます、眼がまわります、苦しうございます」五十を過ぎてあぶらぎった好色婆のために、取って押えられて、人目も恥じず、悶(もだ)え苦しむ有様は、むしろ悲惨の極であります...
中里介山 「大菩薩峠」
...少くも外面的には少しも弱りを見せられなかった...
中谷宇吉郎 「牧野伸顕伯の思い出」
...罪人はいいですが十時にならないのには弱りました」「もう一返(ぺん)...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...夜も「女優と詩人」で同じとこへ来ると吹いちまってしまらず、弱り...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...奴はあんなに弱り切って死んだも同然だ――否...
牧逸馬 「上海された男」
...これにも弱りましたよ」お登和「味噌汁の淡いのはしようがありません...
村井弦斎 「食道楽」
...「お父さまはこのごろ急に弱りなさいましたのね...
室生犀星 「みずうみ」
...突然の死にあってすっかり弱り...
柳田国男 「故郷七十年」
...これには弱りぬいた...
吉川英治 「神州天馬侠」
...嬰児(あかご)のように泣かれたには弱りました...
吉川英治 「源頼朝」
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