...水にふやけて弛みし節の解けたるにや...
石井研堂 「大利根の大物釣」
...把手(ハンドル)を握つたまま一秒の弛みもなく眼を前方に注いで立つてゐる運轉手の後姿を...
石川啄木 「硝子窓」
...ほっとした気の弛みが浮び出た...
海野十三 「地獄の使者」
...若い時はちょっとした心の弛みから...
大倉※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子 「妖影」
...筋肉に弛みが見えて青白い皮膚に光澤が無かつた...
高濱虚子 「續俳諧師」
...あのかすかな弛みを見せながらなほ未だに堂々とした線を中空に張りわたしてゐる苔(こけ)のついた屋根...
田畑修一郎 「医師高間房一氏」
...終に気力弛み生捕(いけどり)に合い候事毎々に御座候...
徳富蘇峰 「吉田松陰」
...一寸心に疲れた弛みが出来ると...
豊島与志雄 「都会の幽気」
...彼の薄い唇にはだらけた弛みがあり...
豊島与志雄 「林檎」
...その場合には餘にそぐはない心の弛みを感じて...
南部修太郎 「疑惑」
...ほつと氣の弛みを感じた...
南部修太郎 「ハルピンの一夜」
...『束縛』があると共に『責任回避の安心』から来る緊張の弛みがある...
原口統三 「二十歳のエチュード」
...ステッキが弛みました...
ライネル・マリア・リルケ Rainer Maria Rilke 堀辰雄訳 「巴里の手紙」
...それだからって汗水たらして皆が働いたものを一人の神経の弛みのために尽く水の泡にされてしまってそのまま泣き寝入に黙っているわけにもいかず...
横光利一 「機械」
...矢代もパリ以来の二人の緊張の弛み垂るんだ面を支えようとして...
横光利一 「旅愁」
...寸秒の弛みもない戰場の心がまへにも劣らないから...
吉川英治 「折々の記」
...そちの弛(ゆる)みは皆の弛みなるぞ」「はい……では」「わしも櫓に立とう」共に...
吉川英治 「新書太閤記」
...事件の展開に一分の弛みもない点...
米川正夫 「クロイツェル・ソナタ」
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