...捕へし襟頭(えりがしら)少し弛(ゆる)めつ...
巌谷小波 「こがね丸」
...心細い夕暮の悲しさに小猿はキイ/\啼き女は二人で今日のまうけの事でも話し乍ら然し少しも調子をその爲めに弛めないでいそいでゆく...
千家元麿 「自分は見た」
...なんともいえぬ弛(だる)い気持がします...
橘外男 「仁王門」
...その劇中人物が実際の場合に経験するであろうところの緊張とそれに次いで来るように設計された弛緩とを如実に体験すると同等の効果を満喫して涙を流しはなをすする...
寺田寅彦 「自由画稿」
...その柱の一辺がガタガタと弛(ゆる)んで...
中里介山 「大菩薩峠」
...大いにテレて力が弛(ゆる)む隙を...
中里介山 「大菩薩峠」
...この頃の冗漫弛緩(じようまんちくわん)の筆を徒らに伸(の)ばしたやうな...
南部修太郎 「三作家に就ての感想」
...心が弛(ゆる)み...
新渡戸稲造 「ソクラテス」
...ある種の緊張弛緩といったものが許されるのは...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「城」
...いつにない弛緩(しかん)した心を誘い出したのかも知れない...
火野葦平 「糞尿譚」
...以て立国(りっこく)の根本たる士気(しき)を弛(ゆる)めたるの罪は遁(のが)るべからず...
福沢諭吉 「瘠我慢の説」
...また、彼が扉(ドア)に立つて、遠くの方を眺めてゐるときなど、ふと彼女が視野(しや)に現はれると、彼の頬は輝き、その大理石のやうな顏は、弛(ゆる)まず、知らずに變つていつたが、その靜けさのうちに、動く筋肉か、あるひは射(い)るやうな一瞥が、現し得るよりも強く、壓しつけられた熱情を現した...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...弛緩した様子でサメがずり落ちていく...
アーネスト・ヘミングウェイ Ernest Hemingway 石波杏訳 Kyo Ishinami 「老人と海」
...力即ち暴力を弛めれば...
牧野信一 「悲しき項羽」
...弛棹水中」と云つてある...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...どこか弛緩しているところがあった...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
...僧尼に対する訓令の多くは学業の弛廃(しはい)を警(いまし)むるにあった...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
...弛緩(しかん)の傾向はすでに天平の前半から始まり...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
便利!手書き漢字入力検索
この漢字は何でしょう??