...縦(はな)てども弛まず...
石井研堂 「大利根の大物釣」
...第三篇は油の十分乗った第二篇に比べると全部に弛(たる)みがあって気が抜けておる...
内田魯庵 「二葉亭四迷の一生」
...厳しい炎暑(えんしょ)がいつまでも弛(ゆる)まなかった...
海野十三 「省線電車の射撃手」
...なんともいえぬ弛(だる)い気持がします...
橘外男 「仁王門」
...あのかすかな弛みを見せながらなほ未だに堂々とした線を中空に張りわたしてゐる苔(こけ)のついた屋根...
田畑修一郎 「医師高間房一氏」
...僕らの結婚生活ははなはだ弛緩していた...
辻潤 「ふもれすく」
...赭(あか)い目も弛(ゆる)み唇も乾いていた...
徳田秋声 「黴」
...骨格のふしぶしが弛んで...
豊島与志雄 「蠱惑」
...彼の薄い唇にはだらけた弛みがあり...
豊島与志雄 「林檎」
...少しも弛(ゆる)まないことが知れるのであります...
中里介山 「大菩薩峠」
...〆ていくら出す?」志摩徳は浅黒い引緊った頬を弛ませ...
久生十蘭 「魔都」
...また、彼が扉(ドア)に立つて、遠くの方を眺めてゐるときなど、ふと彼女が視野(しや)に現はれると、彼の頬は輝き、その大理石のやうな顏は、弛(ゆる)まず、知らずに變つていつたが、その靜けさのうちに、動く筋肉か、あるひは射(い)るやうな一瞥が、現し得るよりも強く、壓しつけられた熱情を現した...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...老人は弛(たゆ)みなく漕いだ...
アーネスト・ヘミングウェイ Ernest Hemingway 石波杏訳 Kyo Ishinami 「老人と海」
...寵弛(ゆる)んで更に他の男に嫁し...
南方熊楠 「十二支考」
...侍医グッデンも護衛を弛(ゆる)めさせきとなり...
森鴎外 「うたかたの記」
...五百はすこしも手を弛(ゆる)めなかった...
森鴎外 「渋江抽斎」
...弛んだ視野の中で生きていた...
矢田津世子 「反逆」
...足を弛(ゆる)めて近づいて行った...
吉川英治 「春の雁」
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