...容易に出した切符を引込めなかった...
芥川龍之介 「路上」
...唯今(ただいま)引込(ひっこ)んだばかりの処...
泉鏡花 「歌行燈」
...乳母の目からは、奥に引込んで、夫人の姿は見えないが、自分は居ながら、硝子越に彼方(むこう)から見透(みえす)くのを、主税は何か憚(はば)かって、ちょいちょい気にしては目遣いをしたようだったが、その風を見ても分る、優しい、深切らしい乳母は、太(いた)くお主(しゅう)の盲目(めしい)なのに同情したために、自然(おのず)から気が映ってなったらしく、女の児と同一(おなじ)ように目を瞑(ねむ)って、男の児に何かものを言いかけるにも、なお深く差俯向(さしうつむ)いて、いささかも室の外を窺(うかが)う気色(けしき)は無かったのである...
泉鏡花 「婦系図」
...「木製の人形」が引込むと...
海野十三 「間諜座事件」
...首は突然楽に壁の中に引込んだ...
海野十三 「千早館の迷路」
...突然カーテンの蔭に引込んだ...
海野十三 「蠅男」
...棒切れに突かれた蝸牛(かたつむり)みたいに恐ろしく引込み思案を初めたその君の心は...
相馬泰三 「六月」
...もったいない」お高は広栄の詞(ことば)を聞きながして引込んで往ったが...
田中貢太郎 「春心」
...彼女はぞっとして手を引込めた...
田中貢太郎 「白い花赤い茎」
...」でも咲子はなか/\引込んでゐなかつた...
徳田秋声 「チビの魂」
...眩暈(めまい)がするとて引込んで...
中里介山 「大菩薩峠」
...ここへ引込んでしまったのだから...
中里介山 「大菩薩峠」
...一方は郷里なる山城田辺に引込んで...
中里介山 「大菩薩峠」
...つい又(また)手(て)を引込(ひつこ)めて...
夏目漱石 「門」
...何をするんだ」思はず飛込みさうにした欄干(らんかん)の足を引込めて...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...あんなことを言はれて引込んぢや...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...改訂したり引込めたりさせられたさうだが...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...いつの間にか楽屋に引込んでしまったカルロ・ナイン嬢のあとに...
夢野久作 「暗黒公使」
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