...下駄が浮くと、引く手が合って、おなじく三本の手が左へ、さっと流れたのがはじまりで、一列なのが、廻って、くるくると巴(ともえ)に附着(くッつ)いて、開いて、くるりと輪に踊る...
泉鏡花 「貝の穴に河童の居る事」
...全く愚民の信仰を引く手段に過ぎざるなり...
井上円了 「欧米各国 政教日記」
...引く手にして足踏みおかしくはじめると...
中里介山 「大菩薩峠」
...袋はもう引きつけられたのと見えて網を引く手も止つた...
長塚節 「須磨明石」
...はたりと引く手を留めた...
夏目漱石 「虞美人草」
...遠くなり近くなる踊りの輪の具合で、それは十七八とも二十歳(はたち)近いとも見えましたが、すぐれて高い背も美しく、差す手、引く手、返す肩、捻(ねじ)る腰、すべての線の躍動する見事さ、雲を踏むかと、足取りの軽さ...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...平次の引く手に従って土中の箱の蓋は簡単に開き...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...まことに引く手あまたではあつたが...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...花見手拭(てぬぐひ)を襟に卷いて、早くも散り始めた櫻吹雪の中で、差す手、引く手、いとも鮮(あざや)かに踊るお仙の十八姿が、全山の見物を、夢中にさしたのも無理のないことでした...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...水々しい銀杏返しの頭、裾を引いた市松模様の着物、手にひるがえす銀扇、豊醇に熟(う)れきった身体のこなしが、柔軟に、音もなく、舞台のうえをすべって、さす手、引く手に、いいようもない妖(あや)しい色気がただよう...
火野葦平 「花と龍」
...引く手あまたでした...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「くちなしの花」
...その引く手あまたの一少女の...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...その押す手引く手や腰構えの姿態美は...
夢野久作 「「生活」+「戦争」+「競技」÷0=能」
...「おッ」と引く手に乗って新九郎...
吉川英治 「剣難女難」
...色街でも引く手は数多(あまた)な伊達者(だてしゃ)ではいらっしゃるし...
吉川英治 「新・水滸伝」
...その斬る手も引く手も見せない迅(はや)さを持っている...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...殊に、槍には、突く手、撲(なぐ)る手、引く手の、三益がある...
吉川英治 「宮本武蔵」
...専門の画家が画くとすればあの直線を引く手間で普通に写実的な手を描いてしまうであろう...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
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