...わざと引き締めて見せた口びるのへんから思わずも笑いの影が潜み出た...
有島武郎 「或る女」
...生まれかわらなければ回復しようのないような自分の越し方(かた)行く末が絶望的にはっきりと葉子の心を寒く引き締めていた...
有島武郎 「或る女」
...引き締めて往く力でございます...
薄田泣菫 「艸木虫魚」
...そこでかれらは空き腹の帯を引き締めてがまんし...
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 「森の生活――ウォールデン――」
...其二つの音がひつそりした淋しい夜を一層引き締めて物淋しく感ぜしめる...
高浜虚子 「斑鳩物語」
...主翁は気を引き締めてまた紐を頸にやった...
田中貢太郎 「黄燈」
...気を引き締めて見るのであるが...
谷崎潤一郎 「客ぎらい」
...まるで鮑(あわび)の身のように体じゅうを引き締めて...
谷崎潤一郎 「猫と庄造と二人のおんな」
...お宮は五円札を一枚やると嬉(うれ)しさを押し包むように唇(くち)をきゅっと引き締めて入口まで送って出た私の方を格子戸(こうしど)を閉めながらさも思いを残してゆくような嬌態(しな)を見せて...
近松秋江 「うつり香」
...すべて暴動の周囲を徐々にとり囲み引き締めてゆく恐るべき帯が...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...白い襟をきつちり引き締めて...
林芙美子 「瀑布」
...心引き締めて承りましたが...
藤野古白 藤井英男訳 「人柱築島由来」
...釦金(とめがね)をずらして引き締めてあるんだぜ...
エドガー・アラン・ポー Edgar Allan Poe 佐々木直次郎訳 「マリー・ロジェエの怪事件」
...今宵こそは一層心を引き締めて仕事に掛らなければならぬと注意して...
牧野信一 「南風譜」
...夫が滿足する程手元を引き締めて暮して行くことが出來ない...
森林太郎 「高瀬舟」
...引き締めていたか知れぬのである...
柳田国男 「年中行事覚書」
...室(へや)中の気分を一層強く引き締めているものが三つある...
夢野久作 「暗黒公使」
...顔全体を引き締めていた...
吉田甲子太郎 「秋空晴れて」
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