...生まれかわらなければ回復しようのないような自分の越し方(かた)行く末が絶望的にはっきりと葉子の心を寒く引き締めていた...
有島武郎 「或る女」
...この瞬間だけは葉子の胸は呼吸もできないくらい引き締められた...
有島武郎 「或る女」
...其二つの音がひつそりした淋しい夜を一層引き締めて物淋しく感ぜしめる...
高浜虚子 「斑鳩物語」
...まずこの方のことを引き締めて掛かることにしました...
高村光雲 「幕末維新懐古談」
...泣かんばかりに引き締めた表情で頭を下げた...
橘外男 「ナリン殿下への回想」
...主翁は気を引き締めてまた紐を頸にやった...
田中貢太郎 「黄燈」
...女たちは金銀のケエプをしっくりと身体(からだ)に引き締めて...
谷譲次 「踊る地平線」
......
谷崎潤一郎 「春琴抄」
...まるで鮑(あわび)の身のやうに体ぢゆうを引き締めて...
谷崎潤一郎 「猫と庄造と二人のをんな」
...お宮は五円札を一枚やると嬉(うれ)しさを押し包むように唇(くち)をきゅっと引き締めて入口まで送って出た私の方を格子戸(こうしど)を閉めながらさも思いを残してゆくような嬌態(しな)を見せて...
近松秋江 「うつり香」
...カントによって分解され引き締め直される...
戸坂潤 「思想としての文学」
...いくらか蒼白めた顔を引き締めて...
直木三十五 「南国太平記」
...しっかり引き締めた...
直木三十五 「南国太平記」
...この事件はこれだけで片づくまいという不安が双方の心を引き締めた...
夏目漱石 「明暗」
...鳩尾(みぞおち)が引き締められるやうな...
南部修太郎 「猫又先生」
...心引き締めて承りましたが...
藤野古白 藤井英男訳 「人柱築島由来」
...今宵こそは一層心を引き締めて仕事に掛らなければならぬと注意して...
牧野信一 「南風譜」
...自分の鼻の表現を一切引き締めて...
夢野久作 「鼻の表現」
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