...鼠を弄ぶ猫の如く屡余の「生きむと欲する意志」を脅かして余が生に不安の影を落す...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...或る眞理と或る價値とを體得しない者がその眞理と價値とを口舌の上で弄ぶことである...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...強いと云ふ言葉を路傍の石のやうに輕易に弄ぶ野次馬の輩と同樣の滑稽に陷る...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...たいてい毎晩のように三味線を弄ぶか歌沢をうたう...
伊藤野枝 「出奔」
...学位論文式な観点から之を弄ぶことは全く無意味であるだけに...
戸坂潤 「イデオロギー概論」
...なか/\悪戯を弄ぶ人であるとの推測から来たのであらう...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...凡人がやたらに弄ぶべきものではない...
豊島与志雄 「愉快な話」
...ああ世人の名を喜んでその実は問わざるや若し名目を弄ぶに巧なるものあって名を忠孝と衛生とに借らんか...
永井荷風 「偏奇館漫録」
...藤尾は男を弄ぶ...
夏目漱石 「虞美人草」
...かの女の感覚を弄ぶなどと...
林不忘 「あの顔」
...浜口 あいつは戦地で自動車の運転をおぼえてきて、あっというような無茶な運転をする……危険に賭け、危機を弄ぶ、そういう気質の男は、いつかは、かならず失敗する……わざとあんなところに追いあげておいたのは、おれの心の深いところに、いつかは失敗(しくじ)るだろう、失敗(しくじ)ってくれればいいという、願望があったわけだ...
久生十蘭 「喪服」
...尚しかし恋の傍らといへるほどの若さと戯れにダンスをさへ弄ぶ快活さとを失つてゐなかつたのである...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...酔余(すいよ)或は花を弄ぶなど淫(ウカ)れに淫れながら...
福沢諭吉 「女大学評論」
...徒に浮華に流れて虚文を弄ぶが如き...
福沢諭吉 「新女大学」
...都(すべ)て父母の利心に生じて子を弄ぶものなれば...
福沢諭吉 「新女大学」
...それは現今でも囲碁を弄ぶ人が中には上達して師匠となり...
三上義夫 「文化史上より見たる日本の数学」
...因って嘉儀の物と為しこれを弄ぶ〉とある...
南方熊楠 「十二支考」
...春の雲が夢を弄ぶあたりには...
横瀬夜雨 「花守」
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