...鼠を弄ぶ猫の如く屡余の「生きむと欲する意志」を脅かして余が生に不安の影を落す...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...強いと云ふ言葉を路傍の石のやうに輕易に弄ぶ野次馬の輩と同樣の滑稽に陷る...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...私がもう一度自分の良心を弄ぶように誘惑されたのは...
スティーヴンスン Stevenson Robert Louis 佐々木直次郎訳 「ジーキル博士とハイド氏の怪事件」
...物を弄ぶのはその物の真髄を知らないからである...
種田山頭火 「赤い壺(三)」
...なか/\惡戯を弄ぶ人であるとの推測から來たのであらう...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...なか/\悪戯を弄ぶ人であるとの推測から来たのであらう...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...藤尾は男を弄ぶ...
夏目漱石 「虞美人草」
...必ずしも春一がはじめから小夜子を弄ぶ気であったとは主張しません...
浜尾四郎 「死者の権利」
...浜口 あいつは戦地で自動車の運転をおぼえてきて、あっというような無茶な運転をする……危険に賭け、危機を弄ぶ、そういう気質の男は、いつかは、かならず失敗する……わざとあんなところに追いあげておいたのは、おれの心の深いところに、いつかは失敗(しくじ)るだろう、失敗(しくじ)ってくれればいいという、願望があったわけだ...
久生十蘭 「喪服」
...あんな好人物を弄ぶのはいい加減にしろ...
久生十蘭 「雪間」
...尚しかし恋の傍らといへるほどの若さと戯れにダンスをさへ弄ぶ快活さとを失つてゐなかつたのである...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...之を弄ぶは唯是れ一種の行楽事にして...
福沢諭吉 「新女大学」
...弄ぶでもなく、運ぶでもなくに運ばれた一つの物體が、どこかの果に漂ひ寄つたとしても、そこに人間の發見の目がなかつたならば、それは偶然とも言へないのである...
水野仙子 「夜の浪」
...けだしその推察通り宦者が婦女を弄ぶ例は尠なからぬ(タヴェルニエー『土耳古帝宮中新話(ヌーヴェル・リラチヨン・ド・ランテリユール・ジュ・セラユ)』一六七五年版二八頁...
南方熊楠 「十二支考」
...自分の創作慾は〔十七字略〕政治家と稱される人間が憲政を弄ぶのとは...
水上瀧太郎 「貝殼追放」
...又專門審美家のうちにも粧飾語を弄ぶものあり...
森鴎外 「柵草紙の山房論文」
...ただ弄ぶ意味ではありません...
柳宗悦 「民藝とは何か」
...かういふ言を弄ぶのでは決してない...
吉川英治 「折々の記」
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