...於是、彼等は其長紳をき、其大冠を頂き、其管絃を奏で、其詩歌を弄び、沐猴にして冠するの滑稽を演じつつ、しかも彼者自身は揚々として天下の春に謳歌したり...
芥川龍之介 「木曾義仲論(東京府立第三中学校学友会誌)」
...俺は從來如何に淫蕩なる生活との接觸に當つても、異性を弄び、異性を「買ふ」事を卑しとする自分の良心を抂げなかつた...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...あたかも銅貨の如く常にポケット内に弄びしものにはあらざるか...
チェスタートン Chesterton 直木三十五訳 「作男・ゴーの名誉」
...憎悪と唾液とに脹れあがつたこの妖怪をおんみの踏み弄びまするやう...
ボードレール 富永太郎訳 「或るまどんなに」
...卓上の万年筆を無関心らしく弄びながら...
豊島与志雄 「死の前後」
...彼女は私を弄び、私も彼女を弄んだ...
豊島与志雄 「祭りの夜」
...鴎外の諸家が文学を弄びながら...
永井荷風 「来訪者」
...白井は女の額に垂れかゝる後毛(おくれげ)を弄びながら...
永井荷風 「来訪者」
...他意なしとのみ弄びたるに...
夏目漱石 「虞美人草」
...長火鉢の傍らに四十格好の脂肪肥りにでっぷりした丸髷を結った内儀が煙管を弄び乍ら悠然と控えて居るのが見え...
西尾正 「陳情書」
...同時に私はあなたの弄びものとなって居たのでした...
浜尾四郎 「悪魔の弟子」
...生命を弄びたがる傾向があった...
原民喜 「滑走」
...あはれに淋しき調べを弄びつゝ...
樋口一葉 「琴の音」
...花月を弄びたる歌にて善きもあり悪きもあり...
正岡子規 「人々に答ふ」
...生前好んで尺八を弄びたるが...
水上瀧太郎 「貝殼追放」
...紅茶を入れかけたままの白いエプロンの端を弄(もてあそ)び弄び耳まで赤くなってしまった...
夢野久作 「二重心臓」
...」勘次は安次の紫色に変っている指さきを弄びながらそう云うと...
横光利一 「南北」
...偉い方?』と女は私の髪を骨ばった指で弄びながら訊いた...
渡辺温 「ああ華族様だよ と私は嘘を吐くのであった」
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