...魂を弄び、魂を汚し、魂を賣り、魂を墮落させる職業は最も恐ろしい...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...俺は從來如何に淫蕩なる生活との接觸に當つても、異性を弄び、異性を「買ふ」事を卑しとする自分の良心を抂げなかつた...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...家人の迷惑をも顧みず酸類にて衣服や畳に孔を穿ち又硫化水素などを弄びて実験を行ふを唯一の楽とせり...
池田菊苗 「「味の素」発明の動機」
...金銭を弄び下等の淫楽に耽るの外...
伊藤左千夫 「茶の湯の手帳」
...医者が薬を弄び、似非自然主義者が心を弄び、自殺しそくなつた人が狂言に自殺を再びやつて見るやうなものである...
田山録弥 「自からを信ぜよ」
...あたかも銅貨の如く常にポケット内に弄びしものにはあらざるか...
チェスタートン Chesterton 直木三十五訳 「作男・ゴーの名誉」
...所詮サラリーマン達が手頼って生きている或る世界の弄びものに過ぎないのである...
戸坂潤 「社会時評」
...憎悪と唾液とに脹れあがつたこの妖怪をおんみの踏み弄びまするやう...
ボードレール 富永太郎訳 「或るまどんなに」
...私は雑誌を手に弄びながら...
豊島与志雄 「運命のままに」
...私たちはただ寝ころんで、空を眺め、海を眺め、煙草をふかし、雑談にふけり、鳥か魚かを珍らしがり、手で弄び、或は即席に料理して酒の肴にするのもよい...
豊島与志雄 「女人禁制」
...鴎外の諸家が文学を弄びながら...
永井荷風 「来訪者」
...言語の綾の弄びの類多くその漢詩と風を異にしてゐる...
中村憲吉 「頼杏坪先生」
...長火鉢の傍らに四十格好の脂肪肥りにでっぷりした丸髷を結った内儀が煙管を弄び乍ら悠然と控えて居るのが見え...
西尾正 「陳情書」
...陶の手を弄びながら...
久生十蘭 「湖畔」
...花月を弄びたる歌にて善きもあり悪きもあり...
正岡子規 「人々に答ふ」
...(この間小猿等大いなる丸(たま)を弄びゐたるが...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...両手で手紙を弄びながら...
夢野久作 「暗黒公使」
...偉い方?』と女は私の髪を骨ばった指で弄びながら訊いた...
渡辺温 「ああ華族様だよ と私は嘘を吐くのであった」
便利!手書き漢字入力検索