...俺は從來如何に淫蕩なる生活との接觸に當つても、異性を弄び、異性を「買ふ」事を卑しとする自分の良心を抂げなかつた...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...家人の迷惑をも顧みず酸類にて衣服や畳に孔を穿ち又硫化水素などを弄びて実験を行ふを唯一の楽とせり...
池田菊苗 「「味の素」発明の動機」
...金銭を弄び下等の淫楽に耽るの外...
伊藤左千夫 「茶の湯の手帳」
...あたかも銅貨の如く常にポケット内に弄びしものにはあらざるか...
チェスタートン Chesterton 直木三十五訳 「作男・ゴーの名誉」
...私は雑誌を手に弄びながら...
豊島与志雄 「運命のままに」
...卓上の万年筆を無関心らしく弄びながら...
豊島与志雄 「死の前後」
...私たちはただ寝ころんで、空を眺め、海を眺め、煙草をふかし、雑談にふけり、鳥か魚かを珍らしがり、手で弄び、或は即席に料理して酒の肴にするのもよい...
豊島与志雄 「女人禁制」
...鷹揚に物品を弄び...
豊島与志雄 「風景」
...唄もうたえず洒落の才能もない僕は、杯を弄びながら、いきおい黙りこみがちだ...
豊島与志雄 「慾」
...白井は女の額に垂れかゝる後毛(おくれげ)を弄びながら...
永井荷風 「来訪者」
...他意なしとのみ弄びたるに...
夏目漱石 「虞美人草」
...同時に私はあなたの弄びものとなって居たのでした...
浜尾四郎 「悪魔の弟子」
...生命を弄びたがる傾向があった...
原民喜 「滑走」
...陶の手を弄びながら...
久生十蘭 「湖畔」
...人の感情を弄んで置きながら……誰が人の感情を弄びました……誰が人の感情を弄びましたよ」ト云った時はお勢もうるみ眼に成っていた...
二葉亭四迷 「浮雲」
...紅茶を入れかけたままの白いエプロンの端を弄(もてあそ)び弄び耳まで赤くなってしまった...
夢野久作 「二重心臓」
...」勘次は安次の紫色に変っている指さきを弄びながらそう云うと...
横光利一 「南北」
...偉い方?』と女は私の髪を骨ばった指で弄びながら訊いた...
渡辺温 「ああ華族様だよ と私は嘘を吐くのであった」
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