...弁円は、肚の底まで見透かされたような気がして、ややしばらく、じっと峰阿弥の面(おもて)を見つめていたが、「ウーン、なかなか面白い理窟をこねる奴だ、それほど、人の心がわかるなら、俺がなにを思っているか、それも分るか」「わからいでか」「いってみい」「おぬしは、綽空が、月輪殿の姫と婚儀を挙げることを怒っているのじゃ」「ばかっ、それは今、俺が独り言に洩らしたのを聞いていたのだろう...
吉川英治 「親鸞」
...南無阿弥陀仏を一音にとなえ奉る日のあることを!」「笑わすな!」弁円が...
吉川英治 「親鸞」
...弁円は一語で答えて...
吉川英治 「親鸞」
...呼びかけられた山伏の播磨房弁円(べんえん)に...
吉川英治 「親鸞」
...「痛かったか弁円」と...
吉川英治 「親鸞」
...弁円は毎日山をあるいていた...
吉川英治 「親鸞」
...すぐ閉められた戸の外へ走り寄って、弁円は、板戸の穴へ顔を押しつけた...
吉川英治 「親鸞」
...弁円は杖をとめた...
吉川英治 「親鸞」
...この弁円も見のがし...
吉川英治 「親鸞」
...稲田の弟子どもは、首を長くして、待っている様子であった」「では否(いや)おうなく、笠間新治(かさまにいばり)かけて、この剣(つるぎ)の関所は通らねばならぬはずだな」「陽あしの様子――追ッつけ間もあるまい、そろそろ、手(て)わけにかかろうか」「待て待て、柿岡の説教場へも、こっちの密偵が行っている、何か報(し)らせてくるだろう」と、弁円は、刻一刻と、血相に殺気をたたえてきて、「甲賀坊、矢頃(やごろ)の所へ逆茂木(さかもぎ)は」「抜かりはございませぬ...
吉川英治 「親鸞」
...たしかに」「ではどこに――」「あの爼板岩(まないたいわ)の辺りから――そういえば沢辺(さわべ)のほうへ降りたのかも知れぬ」弁円と甲賀坊の押し問答を聞きながら...
吉川英治 「親鸞」
...弁円は、歯がみをして、「察するところ親鸞と生信房のふたりは、どこか、俺たちの気づかぬ間道を廻ったと見えるぞ...
吉川英治 「親鸞」
...この板敷山の嶮(けん)を無難に通って行ったか?弁円を初め...
吉川英治 「親鸞」
...声は百雷の墜(お)つるように弁円は...
吉川英治 「親鸞」
...弁円も黙ってしまった...
吉川英治 「親鸞」
...播磨公(はりまのきみ)弁円といわれるまでになったのだ...
吉川英治 「親鸞」
...弁円は嗚咽(おえつ)していった...
吉川英治 「親鸞」
...ともすれば、愛慾の広海(こうかい)に溺れ、ともすればまた、名利(みょうり)の大山(たいせん)に踏み迷っている凡夫なのじゃ、聖者などとは、滅相もない過賞、幼なじみのおん身にいわれては、この愚禿(ぐとく)こそ、穴にも入りたい」「親鸞どの」弁円は、しかと、その人の手をにぎりしめて、「幼少から、これほどのおん身を、友として持ちながら、なぜ弁円は、早くからおん身のその真実と徳に触れることができなかったであろうか...
吉川英治 「親鸞」
便利!手書き漢字入力検索