...葉子は垣根(かきね)越しに苔香園(たいこうえん)の母屋(おもや)の下の便所らしいきたない建て物の屋根を見つけて困ったものがあると思った...
有島武郎 「或る女」
...ところどころの別荘の建て物のほかには見渡すかぎり古く寂(さ)びれた鎌倉(かまくら)の谷々(やとやと)にまであふれていた...
有島武郎 「或る女」
...婦人科の室(へや)は伝染病室とはずっと離れた所に近ごろ新築された建て物の中にあった...
有島武郎 「或る女」
...いわばその界隈(かいわい)にたくさんある待合(まちあい)の建て物に手を入れて使っているような病院だった...
有島武郎 「或る女」
...段々高くなつてるその一番奧の建て物の二階を僕が占領することになつた...
岩野泡鳴 「鹽原日記」
...この嚴格な建て物の正門に向つた粗末な一下宿屋に...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...また新築中であつた北海道聽の建て物は...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...親ゆづりで自分の所有に落ちた建て物を事業費調達の爲めに抵當に入れても...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...隣の部屋や廊下に跫音や話聲がせぬので私は伽藍のやうな大きな建て物をわがもゝの如く獨占していつまでも朝寢をすることが出來る...
近松秋江 「箱根の山々」
...郵便局や麦市場の建て物の下などに...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...一八二四年ブラク大佐がモレー市からパリーに持ってきたいわゆるフランソア一世の家と言わるる建て物から...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...マリユスは建て物の他の部屋(へや)の者がだれも気づかないうちに二階に運ばれ...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
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中野鈴子 「母の手紙」
...都の中(うち)で一番大きな建て物の窓から中へ降りて行きました...
夢野久作 「黒い頭」
...一城の広さもあろう程な尾州家の建て物は...
吉川英治 「江戸三国志」
...孤立した白壁の建て物の前へ駈け集まってくる...
吉川英治 「江戸三国志」
...露地、川、本道、建て物、障害物、樹木などの市街物を巧みに利用して、これほどの捕手が今までどこにいたか分らず、一瞬一声の呼子笛(よびこ)で、無数の灯を闇に描きだしたところは、なるほど釘勘も味をやるなと、そこには多少兵法の心得もある万太郎として、特殊な興味の下(もと)に感服しました...
吉川英治 「江戸三国志」
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