...十 椿岳の畸行作さんの家内太夫入門・東京で初めてのピヤノ弾奏者・椿岳名誉の琵琶・山門生活とお堂守・浅草の畸人の一群・椿岳の着物・椿岳の住居・天狗部屋・女道楽・明治初年の廃頽的空気負け嫌いの椿岳は若い時から誰でも呑(の)んで掛って人を人臭いとも思わなかった...
内田魯庵 「淡島椿岳」
...殊に徳川末季の江戸生活には三百年の太平に弛緩(しかん)した廃頽(はいたい)気分が著るしく濃厚であって...
内田魯庵 「硯友社の勃興と道程」
...今日とても既に世道の廃頽...
丘浅次郎 「人類の将来」
...若し人類の不治の病なる世道の廃頽を医し得る者があつたならば...
丘浅次郎 「人類の将来」
...世道の廃頽も人心の堕落も即座に撤回することが出来て...
丘浅次郎 「人類の将来」
...それによつて血統の廃頽を救つてゐると言はれてゐるが...
薄田泣菫 「茶話」
...私を破れかぶれの廃頽(はいたい)気分から遂に引上げ救い出してくれたのは彼女の純一な愛であった...
高村光太郎 「智恵子の半生」
...当今世界の近代美は爛熟(らんじゅく)と廃頽(はいたい)と自暴自棄とに落ち込んでいる...
高村光太郎 「美の日本的源泉」
...その廃頽(はいたい)の意識を捨てて...
太宰治 「花燭」
...廃頽(はいたい)した...
谷崎潤一郎 「細雪」
...それはこの時計の進むにつれて墜落し廃頽(はいたい)して行く...
寺田寅彦 「時の観念とエントロピーならびにプロバビリティ」
...またある人は唯物論的思想の流行による国民精神の廃頽のせいだと思い込む...
寺田寅彦 「猫の穴掘り」
...このギリシャ式の服をまとってる廃頽(はいたい)した東ゴートの気障(きざ)な文学ぐらい...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...爛熟し尽せる江戸文明の漸く廃頽期(はいたいき)に向はんとする前兆を示すものならずや...
永井荷風 「江戸芸術論」
...人倫の廃頽(はいたい)も亦極れりと謂うべきである...
永井荷風 「申訳」
...それはそれなりに廃頽した美しさを示している...
久生十蘭 「魔都」
...寧ろ廃頽的なリベラリストである! と私は思つた...
牧野信一 「真夏の朝のひとゝき」
...この廃頽は、享楽慾の或る好淫的な洗練を招来するものです...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「トリスタン」
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