...それから二人(ふたり)で庫裡(くり)へ行つて...
芥川龍之介 「京都日記」
...寺の庫裡(くり)のようにがらんと黝(くろ)ずんだ広間と土間とにこもって...
有島武郎 「親子」
...庫裡の縁先には夏草が高くしげつてゐて...
太宰治 「陰火」
...若い老いた女や男が五六人庫裡に集つて経を誦(ず)してゐるのを見た...
田山花袋 「ある僧の奇蹟」
...やがて主僧は庫裡(くり)に引き上げたが...
田山花袋 「田舎教師」
...和尚さんは隙(すき)をみて庫裡のほうへ逃(に)げて行ってしまった...
田山花袋 「田舎教師」
...火種(ひだね)をもらおうと庫裡にはいってみると...
田山花袋 「田舎教師」
...縁側の高い天井の高い大きな寺の庫裡(くり)の一間であつた...
田山録弥 「百日紅」
...お経でも、上げよう」方丈が、そういっていると、村の庄屋の声で「これを一つ吉右衛門さんに」と、庫裡で、いっているのが聞えた...
直木三十五 「寺坂吉右衛門の逃亡」
...そんなことを考えて、竜之助は、ともかくも、この声のする方へ近づいて行くと、「これはこれは、あなた様は、いずれにおすまいでいらせられまするか」「高台寺の月心院に」「ええ、何と仰せられました」堂守の尼が聞き耳を立てました様子ですから、竜之助は重ねて、「月心院の庫裡(くり)に、しばらく世を忍んでおりまするが、今晩、月がよろしいようですから、ついうかうかと出て参りました」「まあ、その月心院の庫裡と申しますのを、あなた様は御承知の上でおすまいでございまするか」「いや、何も知らない」「それでは、お話し申し上げますが、その前に、おたずね申し上げて置きたいことは、あの庫裡の中で、夜分になりますると、毎夜、怪しい物をごらんあそばしまするようなことはござりませぬか」「左様――」と竜之助は、問われてはじめて思案してみたが、何を言うにも昨今のことで、しかも、同居は血の気の多い幾多の壮士共だから、特に、怪しいとも、怖(こわ)いとも、感じている暇がないのでありました...
中里介山 「大菩薩峠」
...月心院のあの庫裡では...
中里介山 「大菩薩峠」
...庫裡(くり)へ帰れば女がいる...
中里介山 「大菩薩峠」
...また庫裡を出て門の方へ引返した...
夏目漱石 「門」
...庫裡(くり)から本堂へ入って行くと...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...申し付けし庫裡(くり)の流し先を掃除せずや...
夢野久作 「白くれない」
...庫裡(くり)の隅でも...
吉川英治 「江戸三国志」
...庫裡(くり)から請(こ)い求めてきたものでもあろうか...
吉川英治 「私本太平記」
...「誰? 兵助」「庫裡(くり)の方から出てきたようですが?」「寺の者ではないらしいぞ」「はてな」歩むともなく...
吉川英治 「宮本武蔵」
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