...どこからともなく不意に襲って来る不安は葉子を底知れぬ悒鬱(ゆううつ)の沼に蹴落(けお)とした...
有島武郎 「或る女」
...底知れぬ笑顔で受けた...
江戸川乱歩 「踊る一寸法師」
...空は底知れぬ紺青(こんじょう)に晴れ渡り...
江戸川乱歩 「孤島の鬼」
...何とも底知れぬ静寂の中に...
江戸川乱歩 「孤島の鬼」
...旅人は底知れぬ恐怖におそわれ...
江戸川乱歩 「探偵小説の「謎」」
...底知れぬ暗さの中(うち)に...
チェスタートン 直木三十五訳 「金の十字架の呪い」
...その眼には底知れぬ疑惑の念がこもっていた...
豊島与志雄 「椎の木」
...底知れぬ冷たさがぞっときた...
豊島与志雄 「特殊部落の犯罪」
...八郎太にとって、益満の底知れぬ、そして、大胆な計が、少し薄気味悪かったし、益満は、一本気なこの老人に、ここまで話していいか、悪いか――八郎太の様子をうかがった...
直木三十五 「南国太平記」
...われわれはかえって底知れぬ懐(なつか)しさと同時に悲しさ愛らしさを感ずるであろう...
永井荷風 「伝通院」
...それ以来竜子は唯(ただ)に母と自分の身の上のみならず見廻す家の内の家具調度または庭の植木のさまにまで底知れぬ寂しさを感ずるようになった...
永井荷風 「寐顔」
...私は妙に底知れぬしみじみとした感じにうたれたことがあった...
中谷宇吉郎 「民族的記憶の名残」
...幽婉縹渺(ゆうえんひょうびょう)として底知れぬ観である――不図耳を澄ますと...
牧野信一 「ゼーロン」
...恥を覚えて底知れぬ憂鬱の谷に転落した...
牧野信一 「ゾイラス」
...その中に、底知れぬ深さ、その他朝子の愛する小曲が数多(あまた)あった...
「一本の花」
...なお底知れぬあのうすあばたのことだ...
吉川英治 「私本太平記」
...底知れぬ深淵の上に口を開けていて...
H. P. ラヴクラフト H.P.Lovecraft The Creative CAT 訳 「狂気の山脈にて」
...それはただ自分の智慧が臆測の光を投げ込むに過ぎない底知れぬ深淵である...
和辻哲郎 「停車場で感じたこと」
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