...池はもう温(ぬる)んだらしい底光りのする水の面(おもて)に...
芥川龍之介 「竜」
...必ず取り返してやる……と」と肥大な二重頤(あご)の眼が底光って...
橘外男 「グリュックスブルグ王室異聞」
...ジロリとお里をごらんになったご隠居さまの目の底光りしてこわいこと...
橘外男 「亡霊怪猫屋敷」
...人間は作品は底光りするやうにならなければ駄目だ...
種田山頭火 「其中日記」
...同じように底光りがしていた...
豊島与志雄 「古井戸」
...しまった佐倉炭(さくらずみ)、底光る火気、キチキチとひわれる音、燃えるガスの焔の色、そのうえには南部の鉄瓶がどす黒くのっている...
中勘助 「独り碁」
...そこにもここにも底光(そこびか)りがある...
中里介山 「大菩薩峠」
...それが羨(せん)道から洩れる薄明りで妙に底光りしている...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...あんな底光りのする色白は滅多にありませんよ...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...底光りのする眼付であった...
羽志主水 「監獄部屋」
...九女八(うち)の芸のような――地震加藤とか光秀(みつひで)をやる時の――底光りがしてるじゃねえか...
長谷川時雨 「市川九女八」
...底光りのする歌ごゑがすつかり耳についてしまつてゐる...
堀辰雄 「ゲエテの「冬のハルツに旅す」」
...家具なども古くて底光りのしてゐたやうなその村の古いホテルが...
堀辰雄 「四葉の苜蓿」
...ギラリと底光りのする刃の先が...
三好十郎 「胎内」
...おっとりしていながら底光りを湛えた双眸(そうぼう)に...
山本周五郎 「新潮記」
...其詩篇が一々椋實珠(むくろうじゆ)のやうに底光りのした鍛錬の痕を留めてをる...
横瀬夜雨 「花守」
...じっと底光りして来るよ...
横光利一 「夜の靴」
...時々、辻へ来て、はっと上げる眼ざしは、うつつで、底光りがして、飛び出しそうな熱をもって、無心な者はぎょっとする...
吉川英治 「親鸞」
便利!手書き漢字入力検索