...底の底から清められ深められたクララの心は...
有島武郎 「クララの出家」
...或る名状し難き衝動を心の底の底に感じた...
石川啄木 「葬列」
...此時僅かに胸の底の底で...
石川啄木 「葬列」
...貴女の御心の底の底を知つて居りましたのですよ...
今井邦子 「誠心院の一夜」
...入口の風鈴の音わすれ難く、小用はたしながら、窓外の縁日、カアバイド燈のまわりの浴衣(ゆかた)着たる人の群ながめて、ああ、みんな生きている、と思って涙が出て、けれども、「泣かされました」など、つまらぬことだ、市民は、その生活の最頂点の感激を表現するのに、涙にかきくれたる様を告白して、人もおのれも深く首肯(うなず)き、おお、お、かなしかろ、と底の底まで、割り切れたる態にて落ちついているが、それでは、私は、どうする...
太宰治 「二十世紀旗手」
...だから、紙となり、軽薄ともなるが、今集まっている代物の如き、もうこれより下れん、落ちられんというところの、底の底におって、反溌(はんぱつ)しようとしている奴等だ...
直木三十五 「南国太平記」
...最後のカラランは底の底から出て...
夏目漱石 「坑夫」
...事件には底の底がありさうで...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...『私はお前といふ不幸な人間を底の底まで知りぬいて居る...
萩原朔太郎 「散文詩・詩的散文」
...無智と卑しさを底の底までさらけだしたギスばった調子で...
久生十蘭 「黒い手帳」
...心の底の底にその夢がとじこめられた儘...
堀辰雄 「菜穂子」
...底の底に押しこまれていた感情が一時にぱっと...
水野葉舟 「北国の人」
...盆地のへこみの底の底まで一杯に家が建っているだけだ...
宮島資夫 「四谷、赤坂」
...どうしても此都會の底の底まで下りて來なければならなかつた彼女を寧ろ當然の運命のやうに思へた...
室生犀星 「蒼白き巣窟」
...青ずんだ湯の底の底まで透きとおして...
夢野久作 「鉄鎚」
...底の底まで見て来たお蔭で...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...私の記憶の底の底から何かしらなつかしいような又は遣(や)る瀬(せ)のない夢のような……正直に云えば吸い付きたいような思い出を喚(よ)び起すらしい気持のする匂いであった...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...やはり心の底の底で自分を信じているようです...
和辻哲郎 「ある思想家の手紙」
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