...奥床しい門構えの家だった...
芥川龍之介 「玄鶴山房」
...その挨拶を受けらるる時の奥方が、端然として針仕事の、気高い、奥床しい、懐(なつかし)い姿を見るにつけても、お蔦に思較べて、いよいよ後暗(うしろめた)さに、あとねだりをなさらないなら、久しぶりですから一銚子(ひとちょうし)、と莞爾(にっこり)して仰せある、優しい顔が、眩(まぶし)いように後退(しりごみ)して、いずれまた、と逃出すがごとく帰りしなに、お客は誰?……とそっと玄関の書生に当って見ると、坂田礼之進、噫(ああ)、止(やん)ぬる哉(かな)...
泉鏡花 「婦系図」
...特殊な床しい美が発見されるのです...
上村松園 「幼き頃の想い出」
...つくづくと後世(ごせ)のほども案じられてなりませぬわい」「どうやら床しい御仁体と見受け申したが...
田中貢太郎 「轆轤首」
...奥床しい構えであった...
谷崎潤一郎 「少年」
...床しい印籠も見た...
種田山頭火 「行乞記」
...つゝましやかにつぎはぎのしてあるは主婦の心がけも見えて却つて奧床しいもので御座います...
土井八枝 「隨筆 藪柑子」
...黒ずんだ、磨きのかかった柱、茶室造りに似た天井――総て侘しく、床しい、古い香の高い部屋であった...
直木三十五 「南国太平記」
...いかにも奥床しいところのあるのに...
中里介山 「大菩薩峠」
...幸子の人柄も偲ばれて床しいことでした...
野村胡堂 「九つの鍵」
...綾之助貞淑の床しい語り草とも残された...
長谷川時雨 「竹本綾之助」
...實に奧床しい匂ひだ...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「狂人日記」
...私に取っては何処か床しい処がある...
二葉亭四迷 「平凡」
...二階に床しいて、セリフを覚え始める、ねころんでやってるとトロ/\とねむくなり、つひにねちまふ...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...食事をすませると床しいて...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...――床しい荷をになった下郎じゃ...
三上於兎吉 「艶容万年若衆」
...わたしは稀な床しい友愛をえ...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...たとえようもなく床しい修養であった...
柳田国男 「木綿以前の事」
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