...庇間(ひあわい)にかけた階子(はしご)に留まって...
泉鏡花 「婦系図」
...お庇様(かげさま)とお出入(でいり)さきで稼ぎがつきます...
泉鏡花 「怨霊借用」
...庇をくゞり、廊下を通って、よう/\そこまで辿り着いた庭の陽光は、もはや物を照らし出す力もなくなり、血の気も失せてしまったかのように、たゞ障子の紙の色を白々と際立たせているに過ぎない...
谷崎潤一郎 「陰翳礼讃」
...ここを読んで私がどんなに夫を庇(かば)うために苦心したかを察してくれてもよいと思う...
谷崎潤一郎 「鍵」
...しかし科学の庇(ひさし)の下に発達したものの根源は科学以前から科学の具体的内容とは無関係に存在する人間固有の悟性の方則なのである...
寺田寅彦 「科学と文学」
...はら/\と庇(ひさし)をうって霰(あられ)が来る...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...却ってあなたを庇ってはいますが...
豊島与志雄 「野ざらし」
...それよりも十年の間黙ってこういう研究の為に毎年の研究費を支出し続けられた寛容にして理解ある或る方面の有力者の庇護を得たことを感謝の念をもって思い返してみる...
中谷宇吉郎 「二つの序文」
...自分を庇ってくれる気で...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...娘が父親を庇う心根がいかにも不憫(ふびん)...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...一生懸命幾太郎を庇(かば)はうとして居る娘だ...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...――あの内儀はさう言つた女だ」「お内儀が庇(かば)つたのは誰です...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...(包を捨て脇差に手をかける)おきぬ (寝ている太郎吉を庇い)お前さん...
長谷川伸 「沓掛時次郎 三幕十場」
...ひっそりと澗の海から立ちあがってくる……いらざる庇(かば)いたてをしたばかりに...
久生十蘭 「あなたも私も」
...路地の壁の庇の陰に暗い色の猫が座り...
A. ブラックウッド A. Blackwood The Creative CAT 訳 「盗聴者」
...とうとう庇(ひさし)の蔭(かげ)になっている小さい木札に...
森鴎外 「雁」
...深い軒や庇(ひさし)が必要なのです...
柳宗悦 「民藝四十年」
...かえって万一の事を庇(かば)うように...
吉川英治 「上杉謙信」
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