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立原道造 「萱草に寄す」
...嘗(かつ)て幾夜となくうす暗い閨(ねや)の燈火(ともしび)のはためく蔭に...
谷崎潤一郎 「少将滋幹の母」
...幾日幾夜かを経た...
豊島与志雄 「「沈黙」の話」
...木曾の道中は、御岳(おんたけ)おろしが、いかにこの剃下げの顱頂部(ろちょうぶ)にしみ込んで、幾夜、宵寝の夢を寒からしめたことか...
中里介山 「大菩薩峠」
...松葉焚き煤火すゝたく蜑が家に幾夜は寢ねつ雪のふる夜も波崎のや砂山がうれゆ吹き拂ふ雪のとばしり打ちけぶる見ゆしらゆきの吹雪く荒磯にうつ波の碎けの穗ぬれきらひ立つかも吹き溜る雪が眞白き篠の群の椿が花はいつくしきかも波崎雜詠のうち薦かけて桶の深きに入れおける蛸もこほらむ寒き此夜は利根の河口は亂礁常に波荒れて舟行甚だ沮む...
長塚節 「長塚節歌集 中」
...幾夜この森中に泣き明した...
穂積陳重 「法窓夜話」
...それから幾夜となく...
堀辰雄 「旅の繪」
...憂ひのみのうちに幾夜/\を更して居るのです...
牧野信一 「青白き公園」
...幾夜々々続けても...
牧野信一 「東中野にて」
...私は幾夜彼の書の上に涙したことであろう...
三木清 「語られざる哲学」
...宴(うたげ)に幾夜をも飲み明そうとする時などがそれです...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...病める父と病める母が交る交る抱いて明しましたのも幾夜でしょう...
矢田津世子 「旅役者の妻より」
...ヘポメニアス氏の頭を幾日幾夜となく悩まし苦しめたのだ...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...幾夜となく江を下り...
吉川英治 「三国志」
...あと幾夜もない...
吉川英治 「私本太平記」
...幾夜を経てようやく...
吉川英治 「新書太閤記」
...――その地球儀を前にして、オルガンチノから、彼の故郷伊太利(イタリア)のはなし、海上の里程(りてい)、北欧南欧の風物談、そのほか印度、安南、呂宋(ルソン)、南支那などの旅行ばなしを、幾夜語らせて、熱心に聴いたか知れなかった...
吉川英治 「新書太閤記」
...それでも、まだ緻密(ちみつ)な女の心は、気がすまないとみえ、幾夜幾たび、浅ましい男の快楽に濡れた唇へは、濃すぎるほどな口紅をつけて、いまわしい思い出のかげを玉虫色に塗り隠した...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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