...私には声を低めてボツボツと話し出してくる亭主の青い顔までが言いようもなく幽暗なものに見えてくるのであった...
橘外男 「逗子物語」
...晩涼に乘じて古い神話の中にでもありさうな幽暗なる湯の湖の上に輕舟を操りながら...
近松秋江 「箱根の山々」
...その幽暗な顔つきを見た時に...
ディッケンズ Charles Dickens 岡本綺堂訳 「世界怪談名作集」
...その濃霧と灯火とのかもし出す幽暗な雰囲気に誘われて...
豊島与志雄 「性格批判の問題」
...幽暗なる蝋燭の火影に窺ひ見た島原の遊女の姿と...
永井荷風 「十年振」
...枕元の硝子窓(ガラスまど)に幽暗な光がさしているので...
永井荷風 「西瓜」
...幽暗なること夢のやうなりし故なるべし...
永井荷風 「断腸亭日乗」
...どの船からという事もなく幽暗なる半月(はんげつ)の光に漂い聞ゆる男女が私語(ささやき)の声は...
永井荷風 「散柳窓夕栄」
...いずれも幽暗なる月の光の中に...
永井荷風 「霊廟」
...この家にわだかまつてゐる幽暗なものに...
原民喜 「飢ゑ」
...同じ泉先生の「三味線堀」には明治末年から大正初年へかけての佐竹一帯の幽暗な街の姿が実によくえがき出されてゐる...
正岡容 「下町歳事記」
...尊兄は怪しき金屬の内部にある最も緻密な幽暗な光と相對してゐる...
室生犀星 「聖三稜玻璃」
...尊兄は怪しき金属の内部にある最も緻密な幽暗な光と相対している...
室生犀星 「聖ぷりずみすとに与う」
...関羽は幽暗な一室に瞑目していた...
吉川英治 「三国志」
...流人という幽暗な壁は十幾年ぶりで除かれた...
吉川英治 「源頼朝」
...どんな深い森の幽暗な樹陰でもこんなではあるまいと思われるほどに...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
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