...此処は東京だつたと思つて幽かに笑つた...
石川啄木 「天鵞絨」
...わづかに白雲が流れて幽かな遠雷が聞えただけで...
太宰治 「右大臣実朝」
...」幽かな溜息をついて...
太宰治 「お伽草紙」
...幽かな溜息となつてあらはれたのである...
太宰治 「お伽草紙」
...あの孤独の戦慄がこれくらゐの小さい町にも既に幽かに忍びいつてゐる模様である...
太宰治 「津軽」
...幽かな「希望」の風が...
太宰治 「パンドラの匣」
...幽かに輪廓が分明して...
太宰治 「火の鳥」
...「次へ穴二つ幽かなりと付けちゃどうだ」と迷亭はすぐ出来る...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...幽かな聲で何かを呟いた...
南部修太郎 「霧の夜に」
...それは私の心に或る幽かなゆとりを與へた...
南部修太郎 「疑惑」
...さめかけたとは云へまだ殘つてゐる幽かな醉心地が私をそそのかし始めたのも事實だつた...
南部修太郎 「ハルピンの一夜」
...その途端に扉の向うで幽かな人聲がした...
南部修太郎 「ハルピンの一夜」
...薄暮のほの白いうれひのやうにはるかに幽かな湖水をながめはるばるさみしい麓をたどつて見しらぬ遠見の山の峠にあなたはひとり道にまよふ 道にまよふ...
萩原朔太郎 「青猫」
...何の因縁がかくばかり幽かなる農民の夢を...
柳田国男 「雪国の春」
...廊下の方から幽かに肥料の漂って来るにおいがした...
横光利一 「旅愁」
...長く忘れていたものの幽かな息づきに見え一層矢代の胸を締めて来た...
横光利一 「旅愁」
...何かの仕合いのように東野の幽かに微笑を含んだ眼もとが...
横光利一 「旅愁」
便利!手書き漢字入力検索