...さうかと云つて、鶴次郎の留守にその親や兄等を煩はすのは、年甲斐もなく、ただ自分の愚を發表するに過ぎないと考へると、寧ろそのままにして置くよりほかはないとあきらめられる...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...だが年甲斐もなく素っ飛ばしたことについちゃ今夜...
海野十三 「深夜の市長」
...蘭堂は年甲斐もなく...
江戸川乱歩 「悪霊物語」
...」私は年甲斐もなく...
太宰治 「富嶽百景」
...今更ながら年甲斐もなく狼狽(ろうばい)せずにはいられなかったのです...
橘外男 「ウニデス潮流の彼方」
...年甲斐もなく浮れ騒いだ...
種田山頭火 「其中日記」
...年甲斐もなく甘いロマンチックな気持ちでしょうか...
豊島与志雄 「死因の疑問」
...年甲斐もなくばかなことをしたものだよ...
中里介山 「大菩薩峠」
...百九十一ようやく呼びさまされた道庵先生は、あわただしく起き上り、「これは、どうも、いやはや、大変に失礼を致しました、どうぞ、御容捨にあずかりたい、年甲斐もなく、少々食べよったものでござるが故に、あしからず、どうも、はや」と非常に恐縮して、そわそわしているものですから、青嵐も気の毒がって、「いや、御心配にはおよびませぬ、お休みになる分にはいっこう差支えござらぬが、夜気に当っては毒と存じ申した故」「いやどうも、年甲斐もなく、それに職業の手前、医者の不養生を如実にお目にかけて、何ともはや汗顔至極……」と頻(しき)りに詫(わ)びるけれども、その表情を見るとけろりとしたもので、面(かお)のどこを見ても汗などをかいている痕跡はない...
中里介山 「大菩薩峠」
...この年老いて、そうして省(かえり)みることを知らぬ水々しい雌蝶と、老いたりというにはあらねど、生きたりというにはあまりに痩(や)せた雄蝶とは、年甲斐もなく、浮かれ浮かれて、花尻の森、源太夫の屋敷あと、且つは嫉妬の神の隠れた竜王明神の祭りの庭の赤い火に向って行くのが危ない...
中里介山 「大菩薩峠」
...「何をしやがる」利助は年甲斐もなく...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...板倉屋の主人萬兵衞は年甲斐もなく女癖(をんなぐせ)が惡く...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...旦那を突いて逃げた奴があるんだ」幸七は年甲斐もなくひどく取亂して居りましたが...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...少しは年甲斐もなく遊びもするやうです」「――」「番頭の徳松は...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...「運命の分かれ道だ! 彼は女に親切だ、年甲斐もなく、へえー、老プレイボーイだな」彼はそう言いながら大きな手をクリストフの頭の上に置いたので、クリストフはさいころのようにくるりと一回転した...
バルザック Honore de Balzac 中島英之訳 「ゴリオ爺さん」
...年甲斐もなく女などの事件で家庭に風波を起させたり……親爺よ...
牧野信一 「スプリングコート」
...年甲斐もなくソンナ別嬪(べっぴん)に肱(ひじ)鉄砲を喰って...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...彼は年甲斐もなくその小さな少女に自分を警戒し敵意さへ持つた...
横光利一 「悲しみの代價」
便利!手書き漢字入力検索