...けれども大井は存外平然と...
芥川龍之介 「路上」
...また左のみを辿って平然としていることはできない...
有島武郎 「二つの道」
...彼女は平然と言いました...
梅崎春生 「Sの背中」
...「人をさがしているのじゃ」「人って、そこらあたりをたくさん通っているじゃアありませんか」と再(かさ)ねて訊(たず)ねますと、哲人は平然と、「ありゃ皆人じゃない」といい放ったという話ですが、真偽はともかく、ソクラテスとしてはありそうな話です...
高神覚昇 「般若心経講義」
...娘さんは、それを充分意識しながら、――平然と、悲しい気分を楽しみ、そしてその悲しみの姿勢を私に見せることによって一層楽しんでいる顔である...
高見順 「如何なる星の下に」
...ご亭主の話に依ると、夫は昨夜あれから何処(どこ)か知合いの家へ行って泊ったらしく、それから、けさ早く、あの綺麗な奥さんの営んでいる京橋のバーを襲って、朝からウイスキーを飲み、そうして、そのお店に働いている五人の女の子に、クリスマス・プレゼントだと言って無闇にお金をくれてやって、それからお昼頃にタキシーを呼び寄せさせて何処かへ行き、しばらくたって、クリスマスの三角帽やら仮面やら、デコレーションケーキやら七面鳥まで持ち込んで来て、四方に電話を掛けさせ、お知合いの方たちを呼び集め、大宴会をひらいて、いつもちっともお金を持っていない人なのにと、バーのマダムが不審がって、そっと問いただしてみたら、夫は平然と、昨夜のことを洗いざらいそのまま言うので、そのマダムも前から大谷とは他人の仲では無いらしく、とにかくそれは警察沙汰になって騒ぎが大きくなっても、つまらないし、かえさなければなりませんと親身に言って、お金はそのマダムがたてかえて、そうして夫に案内させ、中野のお店に来てくれたのだそうで、中野のお店のご亭主は私に向って、「たいがい、そんなところだろうとは思っていましたが、しかし、奥さん、あなたはよくその方角にお気が附きましたね...
太宰治 「ヴィヨンの妻」
...まるで対岸の火事のように平然と傍観している同胞の心裡(しんり)は自分に解しかねるところであった...
太宰治 「惜別」
...照ちやんのやうに平然として死ぬ人も少いだらうね』と申しました...
土井八枝 「隨筆 藪柑子」
...そのために生活態度を変えようとはしなかったろう――(自分が何を考えてるか知らないで平然としてるような者が...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...驕慢(きょうまん)と異端とを平然としてののしっていた...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...私は平然と彼女を連れ歩いた...
豊島与志雄 「憑きもの」
...」千枝子はもう平然として静かな笑みを顔に浮かべた...
豊島与志雄 「波多野邸」
...」竜子はややあって平然と答えた...
豊島与志雄 「幻の彼方」
...平然として吉原遊廓へ登り込んだ...
萩原朔太郎 「室生犀星に與ふ」
...と阿部は平然として答えた...
火野葦平 「糞尿譚」
...それかと思ふと案外平然としてゐるやうな...
北條民雄 「柊の垣のうちから」
...肝心の地球へ戻る方法は未解決のままですよ」船長が平然と言い放った...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「幽霊島」
...信じている方々の心を傷つけて平然としている人などには用はありません...
山崎富栄 「雨の玉川心中」
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