...「そうなれば、もちろん、地球上の生物は、一ぺんに焼けてしまって、ただもやもやした煙になってしまうだろうなあ」蟻田博士は、平然と、まるでひとの事のように言う...
海野十三 「火星兵団」
...平然として眉(まゆ)ひとつ動かさなかったのだ...
海野十三 「少年探偵長」
...平然とお残りくだすった...
海野十三 「第四次元の男」
...あの子は、ねばねばして、気味がわるいから、あなたに一度うんと叱っていただきたいと思いまして、と奥さんが言い、旦那さんは、そうか、どこにいるんだ、と言い、奥さんは平然と、どこかそこらにいるでしょう? と言い、旦那さんは、つかつかと私の隠れている机のほうに歩いて来て、おいおい、そんなところで何をしているのだ、ばかやろう、と言い、ああ、私はもそもそと机の下で四つ這(ば)いの形のままで、あまり恥ずかしくて出るに出られず、あの奥さんがうらめしくてぽたぽた涙を落しました...
太宰治 「男女同権」
...俗物たちが妾(めかけ)をもって平然としているように...
田中英光 「野狐」
...彼れの處決を強迫したりされど總べて無効なりき彼れは開會と共に平然として議長席に就き...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...支那人は最も平然としている...
豊島与志雄 「上海の渋面」
...島村は平然と席に就いた...
豊島与志雄 「別れの辞」
...「私は山に入ることにしました」平然と途方もないことを言い出して私を見つめている...
永井隆 「ロザリオの鎖」
...平然と構(かま)えて...
新渡戸稲造 「自警録」
...どんなところにも平然と坐りこんでゐられた...
林芙美子 「ボルネオ ダイヤ」
...何と平然と目もつむらぬ人が多いのには呆れる...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...しかしその平然とした気持の底に...
北條民雄 「発病」
...少数の人間が何と感じて居ようと平然と無視した振舞いかたで現実生活をあやつって居られると...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...当の蝙也は平然として笑っていた...
山本周五郎 「松林蝙也」
...女は平然と立っていた...
山本周五郎 「山彦乙女」
...甲谷の笑顔の前を平然と廻り続けて踊りが終(や)んだ...
横光利一 「上海」
...室内いちめんの鮮血を見ても、信雄は案外、平然としていた...
吉川英治 「新書太閤記」
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