...少し高い所からは何処(どこ)までも見渡される広い平坦な耕作地の上で二人は巣に帰り損(そこ)ねた二匹の蟻(あり)のようにきりきりと働いた...
有島武郎 「カインの末裔」
...平坦な道を一気に突破して午後の三時半というに沼田町へ着いた...
押川春浪補 「本州横断 痛快徒歩旅行」
...やがて一際高まる歓呼の声と共に、飛行機は、平坦な滑走路を、ユラユラと左右に揺れながら少しばかり走ったかと思うと、夢の様に、もう空中に浮んでいた...
江戸川乱歩 「黄金仮面」
...けだし山巓(さんてん)平坦なるより名を得たるものならん...
高頭仁兵衛 「平ヶ岳登攀記」
...この小径の尽きたところ一面に平坦な広場となって――そしてここが山の頂上らしく...
橘外男 「ウニデス潮流の彼方」
...千畳敷の平坦な処へおりたところでふと怪しいものと擦れ違った...
田中貢太郎 「魔王物語」
...そこいらまではどこか町中の通りらしく平坦な道路は...
田畑修一郎 「医師高間房一氏」
...而して自身は平坦な道をあるいて...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...平坦な土地のみを見て居た私にはすべてが目を惹いた...
長塚節 「隣室の客」
...しばらくは平坦な溪谷の道を走つてゐたが...
野上豐一郎 「キフホイザー」
...足跡がついておりましたよ」平次は至って平坦な調子で...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...世界の平坦なる等質的なる客觀的形相乃至秩序としての時のみが殘る...
波多野精一 「時と永遠」
...平坦な西瓜畑のやうなもので...
牧野信一 「妄想患者」
...明るく平坦な初夏の朝の海は...
山川方夫 「朝のヨット」
...そこは広い平坦な台地で...
山本周五郎 「風流太平記」
...」平坦な砂の中に立って矢代は...
横光利一 「旅愁」
...おそらく自分のいるこのあたりの平坦な一角だったにちがいないと思った...
横光利一 「旅愁」
...平坦な道であった...
和辻哲郎 「夢」
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