...とても初めから御覧になるのは大変だから、日の暮れからがちょうどよろしゅうございますと宿の番頭がそう云うのを、いいえ、わたしはこれが目的で来たんだから、朝御飯をすましたら直きに出かけます、お昼と晩はこの重箱に用意して貰いましょうと、それを楽しみの一つにしている老人は例の蒔絵(まきえ)の弁当箱を預けて、幕の内に、玉子焼に、あなごに、牛蒡(ごぼう)に、何々の煮しめに、………と、おかずの注文までやかましく云って、それが出来て来ると、「さあ、お久や、支度をしな」と、急(せ)き立てるのであった...
谷崎潤一郎 「蓼喰う虫」
...坊やと三人で食堂で幕の内を食べて別れたけれど...
徳田秋声 「縮図」
...この時は既に薩長へ向って討幕の内勅が下っていた時である...
内藤鳴雪 「鳴雪自叙伝」
...日本国中の幕の内であり得る資格が充分だとの自負心を以て...
中里介山 「大菩薩峠」
...音もなく帷(とばり)をかかげて李陵が幕の内にはいって来た...
中島敦 「李陵」
...幕の内だの何か食わせる十二段家ではなく...
古川緑波 「牛鍋からすき焼へ」
...幕の内といふのだから相当食ふ...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...鯛さしみとかもなべ、幕の内...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...朝飯代りの幕の内を食って...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...幕の内をとりて食ふ...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...食ふ暇がなかったので、一幕目の了りに、幕の内をとる...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...そごう食堂の幕の内をとる...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...東宝食堂の幕の内をとりて食ふ...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...二時頃、幕の内一つ...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...正面天幕の内部に...
林不忘 「若き日の成吉思汗」
...次の出は揚幕の内にて高声に「内侍六代...
三木竹二 「いがみの権太」
...風月堂なんぞは西の幕の内の末の方に出てゐます...
森鴎外 「壽阿彌の手紙」
...ふいに一つの陣幕の内から転(まろ)び出た人影が...
吉川英治 「新書太閤記」
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