...と逃出すがごとく帰りしなに...
泉鏡花 「婦系図」
...するとお前(めえ)その支那人を介抱して送り届けて帰りしなに...
泉鏡花 「海城発電」
...吉兵エさんも帰りしなには...
伊藤左千夫 「姪子」
...帰りしなに、腰の白扇をぬいて汚せといった...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...帰りしなに握手をした...
太宰治 「彼は昔の彼ならず」
...帰りしなにふいと...
太宰治 「花吹雪」
...どうせおれは異様なんだ、とひとりでひがんで、帰りしなに、またちらと少女を見た...
太宰治 「美少女」
...妙子は、とうとう逃げ廻って最後の日まで本家へ顔を出さずにいて、漸(ようや)く出立の間際(まぎわ)に駅頭へ駈(か)けつけ、混雑に紛れて義兄にも姉にも簡単な挨拶をしただけであったが、帰りしなに、プラットフォームから改札口へ歩いて行く途中で、「えらい失礼ですけど、あんさん蒔岡はんの娘(とう)ちゃんでっか」と、うしろから呼びかけられて、振り返って見ると、それは舞の名手として有名な新町のお栄と云う老妓であった...
谷崎潤一郎 「細雪」
...――帰りしなに光子さんは私の足袋穿(は)いて行きなさったのんです...
谷崎潤一郎 「卍(まんじ)」
...思い出すことといってはただ、酒を飲むに随って、彼の額が益々蒼白く澄んでゆくような感じだったのと、帰りしなに、母へ眼病の妙薬とかいう薬草を置いていったのと、虫眼鏡で私と暫く遊んでくれたのだけである...
豊島与志雄 「黒点」
...緋(ひ)の板〆縮緬(いたじめぢりめん)に鶯(うぐいす)色の繻子(しゅす)の昼夜帯(はらあわせ)を、ぬき衣紋(えもん)の背中にお太鼓に結んで、反(そ)った唐人髷(とうじんまげ)に結ってきたが、帰りしなには、差櫛(くし)や珊瑚珠(たま)のついた鼈甲(べっこう)の簪を懐紙につつんで帯の間へ大事そうにしまいこみ、褄(つま)さきを帯止めにはさんで、お尻(しり)をはしょった...
長谷川時雨 「チンコッきり」
...帰りしなによって行こうかと思ったらあのいやな人ったらわざわざ土間に下りて見てるんですもの駄目だったのよ...
宮本百合子 「お久美さんと其の周囲」
...三一日に泊った翌日帰りしなになって...
宮本百合子 「九月の或る日」
...いかにして帰って来たかと問えば人々に逢いたかりし故帰りしなり...
柳田国男 「遠野物語」
...帰りしなに、お世辞のように黒瀬はそういったが、ぼくはうれしがる気にもなれなかった...
山川方夫 「お守り」
...舞台の宴会場から帰りしなに...
夢野久作 「梅津只圓翁伝」
...ところで俺が帰りしなに...
モウリス・ルブラン 新青年編輯局訳 「水晶の栓」
...今日もこれから帰りしなに...
レスコーフ Nikolai Semyonovich Leskov 神西清訳 「かもじの美術家」
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