...津藤が厠(かはや)へ行つた帰りしなに何気なく廊下を通ると...
芥川龍之介 「孤独地獄」
...と逃出すがごとく帰りしなに...
泉鏡花 「婦系図」
...徳利を持って出た帰りしなに...
伊藤左千夫 「春の潮」
...帰りしなにふいと...
太宰治 「花吹雪」
...どうせおれは異様なんだ、とひとりでひがんで、帰りしなに、またちらと少女を見た...
太宰治 「美少女」
...フェルフィーチキンは帰りしなに...
ドストエーフスキイ 米川正夫訳 「地下生活者の手記」
...思い出すことといってはただ、酒を飲むに随って、彼の額が益々蒼白く澄んでゆくような感じだったのと、帰りしなに、母へ眼病の妙薬とかいう薬草を置いていったのと、虫眼鏡で私と暫く遊んでくれたのだけである...
豊島与志雄 「黒点」
...と帰りしなに産婆が云ったその熟睡を...
豊島与志雄 「幻の彼方」
...緋(ひ)の板〆縮緬(いたじめぢりめん)に鶯(うぐいす)色の繻子(しゅす)の昼夜帯(はらあわせ)を、ぬき衣紋(えもん)の背中にお太鼓に結んで、反(そ)った唐人髷(とうじんまげ)に結ってきたが、帰りしなには、差櫛(くし)や珊瑚珠(たま)のついた鼈甲(べっこう)の簪を懐紙につつんで帯の間へ大事そうにしまいこみ、褄(つま)さきを帯止めにはさんで、お尻(しり)をはしょった...
長谷川時雨 「チンコッきり」
...彼は帰りしなに斯う云ったからである...
松永延造 「職工と微笑」
...帰りしなによって行こうかと思ったらあのいやな人ったらわざわざ土間に下りて見てるんですもの駄目だったのよ...
宮本百合子 「お久美さんと其の周囲」
...帰りしな、祭壇の前に真理子の母のすがたが見えなかった...
山川方夫 「演技の果て」
...帰りしなに、お世辞のように黒瀬はそういったが、ぼくはうれしがる気にもなれなかった...
山川方夫 「お守り」
...舞台の宴会場から帰りしなに...
夢野久作 「梅津只圓翁伝」
...それからその翌(あく)る日、帰りしなに、コッソリ公会堂に立寄って、内部の様子を一眼見ると、その朝の連絡船で東京に引返して、釜山署の報告はインチキに相違なしという復命をした……ヘエッ……こいつは驚いた...
夢野久作 「爆弾太平記」
...そして急に帰りしなになってふと...
吉川英治 「紅梅の客」
...今日もこれから帰りしなに...
レスコーフ Nikolai Semyonovich Leskov 神西清訳 「かもじの美術家」
...私は父と家へ帰りしな...
若松賤子 「黄金機会」
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