...津藤が厠(かはや)へ行つた帰りしなに何気なく廊下を通ると...
芥川龍之介 「孤独地獄」
...するとお前(めえ)その支那人を介抱して送り届けて帰りしなに...
泉鏡花 「海城発電」
...吉兵エさんも帰りしなには...
伊藤左千夫 「姪子」
...帰りしなに固パンのところに立寄って...
太宰治 「パンドラの匣」
...帰りしなに、細君の背後にじっと坐っている小さな女の子へ、「遊びにいらっしゃい...
太宰治 「めくら草紙」
...妙子は、とうとう逃げ廻って最後の日まで本家へ顔を出さずにいて、漸(ようや)く出立の間際(まぎわ)に駅頭へ駈(か)けつけ、混雑に紛れて義兄にも姉にも簡単な挨拶をしただけであったが、帰りしなに、プラットフォームから改札口へ歩いて行く途中で、「えらい失礼ですけど、あんさん蒔岡はんの娘(とう)ちゃんでっか」と、うしろから呼びかけられて、振り返って見ると、それは舞の名手として有名な新町のお栄と云う老妓であった...
谷崎潤一郎 「細雪」
...帰りしなに雪子が病室の外へ送って来た隙(すき)を捉(とら)えて...
谷崎潤一郎 「細雪」
...――帰りしなに光子さんは私の足袋穿(は)いて行きなさったのんです...
谷崎潤一郎 「卍(まんじ)」
...それが事務所の帰りしな...
谷崎潤一郎 「卍(まんじ)」
...ベッキイは帰りしなに振り返って...
フランセス・ホッヂソン・バァネット Frances Hodgeson Burnett 菊池寛訳 「小公女」
...されば人々は旅順に留まりて容易に帰るべくもあらぬをわれらは故ありてここに居ることを好まねば無理に諸人を催して終に柳樹屯に帰りしなり...
正岡子規 「従軍紀事」
...そして、帰りしな、仕立物の風呂敷を抱えて立ち上ると、片手を祖母ちゃんの、時には乙女の腺病質らしい鳩胸の前へさしつけ、「おかず買ってかえるから二十銭おくれ」お石は睫一つ動かさずぴったり顔を見据えてそう云うのであった...
「小祝の一家」
...いかにして帰って来たかと問えば人々に逢いたかりし故帰りしなり...
柳田国男 「遠野物語」
...帰りしなに、お世辞のように黒瀬はそういったが、ぼくはうれしがる気にもなれなかった...
山川方夫 「お守り」
...舞台の宴会場から帰りしなに...
夢野久作 「梅津只圓翁伝」
...それからその翌(あく)る日、帰りしなに、コッソリ公会堂に立寄って、内部の様子を一眼見ると、その朝の連絡船で東京に引返して、釜山署の報告はインチキに相違なしという復命をした……ヘエッ……こいつは驚いた...
夢野久作 「爆弾太平記」
...そして急に帰りしなになってふと...
吉川英治 「紅梅の客」
...私は父と家へ帰りしな...
若松賤子 「黄金機会」
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