...着物は無論徳さんの息子の古布子(ふるぬのこ)で...
江戸川乱歩 「孤島の鬼」
...そこでこの日彼等は笠に黒布子の切れを垂れて顏を包み...
竹内勝太郎 「淡路人形座訪問」
...首夏(しゅか)馬場金埒(ばばきんらち)花はみなおろし大根(だいこ)となりぬらし鰹(かつお)に似たる今朝(けさ)の横雲新樹紀躬鹿(きのみじか)花の山にほひ袋の春過ぎて青葉ばかりとなりにけるかな更衣(ころもがえ)地形方丸(じぎょうかたまる)夏たちて布子(ぬのこ)の綿はぬきながらたもとにのこる春のはな帋(がみ)江戸の東京と改称せられた当時の東京絵図もまた江戸絵図と同じく...
永井荷風 「日和下駄」
...狐色の筒袖の腰きりの布子で...
長塚節 「才丸行き」
...二炭出すや、匍匐ひ入る、闇き炭がま、鼻のうれ、膝がしら、えたへず、熱き竈は、布子きて入る、布子きて入る、熱きかま、いや熱きは、汗も出でず、稍熱きかまぞ、汗は流る、眼にも口にも、拭へども、汗ながる/\...
長塚節 「長塚節歌集 中」
...木綿物らしい貧しい布子(ぬのこ)...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...薄汚い布子(ぬのこ)のあるのを...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...汚ない布子のジンジン端折り...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...よれ/\の布子(ぬのこ)一點づつ...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...いまの母親は手織布子(ておりぬのこ)を自分の子に着せてはおりません...
羽仁もと子 「親子の愛の完成」
...膝きりの布子(ぬのこ)を着...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...鼠いろの頭巾に同じ布子...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...いわゆる布子(ぬのこ)としては信州秋山の例のように...
柳田国男 「木綿以前の事」
...古い伊勢縞か、木綿の布子か、夏は洗いざらした浴衣に、白い割烹(かっぽう)前掛をつけ、夏冬とおして衿(えり)に手拭を掛けていて、黙っててんぷらを揚げたり、客の応対をしたりするのであった...
山本周五郎 「季節のない街」
...寒い季節には布子(ぬのこ)を重ねたうえから羅紗(らしゃ)の古いみちゆきを着て...
山本周五郎 「寒橋」
...古びた布子(ぬのこ)に袴をはいて...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...老人の物を直したらしい縞目のわからない布子(ぬのこ)を着ていた...
山本周五郎 「柳橋物語」
...垢(あか)じみた木綿布子(ぬのこ)につつまれた小男の――一体どこに...
吉川英治 「新書太閤記」
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