...巷に喘(あへ)げる塵(ちり)の疾風(はやち)よせ来て...
石川啄木 「詩」
...海を見る広き巷(ちまた)の四の辻...
石川啄木 「詩」
...たとへば修羅(しゆら)の巷(ちまた)にて...
上田敏 上田敏訳 「牧羊神」
...かれらは町の巷とは――森とさえ――そんなに懸けはなれている...
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 「森の生活――ウォールデン――」
...但しは九泉幽冥の巷(ちまた)にさまようているか...
中里介山 「大菩薩峠」
...実はといへば陋巷の一室に暗然影を抱いて寝ぬる人...
中原中也 「ヂェラルド・ド・ネルヴァル」
...だれが言い出すともなくそんな笑い話のような巷(ちまた)のゴシップが...
牧逸馬 「浴槽の花嫁」
...あらゆる巷の雑音を通して...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「道化者」
...靴も巷の埃にまみれている...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「道化者」
...一汎(いっぱん)に魔法家と擯斥(ひんせき)されて陋巷に窮死した...
南方熊楠 「十二支考」
...この巷にきて、これらの光線を見ることは、いつも彼にとっては堪えがたい寥寥(りょうりょう)とした気持に陥らせるのであった...
室生犀星 「幻影の都市」
...三月二十八日に凹巷が伊勢から来た...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...巷を歩き廻らない足で...
吉川英治 「大岡越前」
...ひと組の夫婦といふものが、戀愛か、見合か、盛大な結婚式をされて門出したか、また巷の裏で、貧しい誓ひをやつた仲か、とにかく、出發はどうでも、お互が、かうなる迄、一つに暮して來たといふことは、たいへんな人生記録の保持者です...
吉川英治 「折々の記」
...魔魅(まみ)の巷(ちまた)には好んでお降(くだ)りある普化菩薩(ふけぼさつ)だということです...
吉川英治 「私本太平記」
...巷(ちまた)の童歌も決しておろそかには聴いていなかった...
吉川英治 「新書太閤記」
...……にも拘(かか)わらず、慈悲の御袖(みそで)にすがって、おねがい申さねばならぬ儀は」ここならば、どんなことを口外しても大事はないと思いながらも、範綱は、あたりを、つい見て、「十八公麿(まつまろ)の一身、仏陀(ぶっだ)のお膝のほかには、置きようがないのでござります」「なぜ」「源氏の人々、諸国に興って、平家を勦滅(そうめつ)せよの声、巷(ちまた)を、おののかせておりまする……...
吉川英治 「親鸞」
...香港は動乱の巷を他所に見て...
吉行エイスケ 「地図に出てくる男女」
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