...――閭巷無名(りよこうむめい)の天才の造つた伝説的人物を知つたのは悉(ことごと)くこの貸本屋である...
芥川龍之介 「僻見」
...帝都は今にも革命の巷(ちまた)とならんとする如き混乱に陥った...
内田魯庵 「四十年前」
...文に常松迂巷とあるのは池松迂巷(うこう)の間違いである...
高浜虚子 「漱石氏と私」
...晩飯をすませてから灯火(ともしび)の巷の花見小路を通って二人は都踊に這入った...
高浜虚子 「漱石氏と私」
...その巷に於いて兄さん兄さんと呼ばれて居る樣(さま)の...
太宰治 「人物に就いて」
...巷間(こうかん)徒(いたず)らに噂と新聞紙上を賑(にぎわ)せて...
橘外男 「グリュックスブルグ王室異聞」
...陋巷の中にその一生を終らうとは――?四Nは丘の上へと行つた...
田山録弥 「路傍の小草」
...古風な巷(ちまた)に嵌(はさ)まって...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...その愛慾の巷で時間を過すことによって...
豊島与志雄 「溺るるもの」
...鈍(にぶ)い巷(ちまた)の雜音(ざふおん)と入(い)れ交(まじ)つてチヤラチヤラチヤラチヤラと聞(き)き馴(な)れない物音(ものおと)が聞(きこ)えて來(き)た...
南部修太郎 「麻雀を語る」
...動亂の巷へ見送られるといふ感懷が強かつた...
野上豐一郎 「大戰脱出記」
...凡(すべ)て閭巷猥瑣(りょこうわいさ)の事には能(よ)く通暁(つうぎょう)していて...
二葉亭四迷 「浮雲」
...兇器を隠し持って夜の巷(ちまた)をさまようだろうか...
牧逸馬 「女肉を料理する男」
...巷(ちまた)に身をひそめ...
吉川英治 「私本太平記」
...巷(ちまた)の中にゆくりなく信長主従の微行(しのび)を見かけ...
吉川英治 「新書太閤記」
...……にも拘(かか)わらず、慈悲の御袖(みそで)にすがって、おねがい申さねばならぬ儀は」ここならば、どんなことを口外しても大事はないと思いながらも、範綱は、あたりを、つい見て、「十八公麿(まつまろ)の一身、仏陀(ぶっだ)のお膝のほかには、置きようがないのでござります」「なぜ」「源氏の人々、諸国に興って、平家を勦滅(そうめつ)せよの声、巷(ちまた)を、おののかせておりまする……...
吉川英治 「親鸞」
...火事場に近い巷(ちまた)から見つけてきた拾い物だ...
吉川英治 「親鸞」
...巷に歌われる童歌(わらべうた)にも...
吉川英治 「源頼朝」
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