...巷に喘(あへ)げる塵(ちり)の疾風(はやち)よせ来て...
石川啄木 「詩」
...彼は矢張り陋巷(ろうこう)に彷徨(さまよ)う三流作家であることを懐(なつか)しく思い...
海野十三 「火葬国風景」
...花柳の巷では即ち団十郎...
太宰治 「ロマネスク」
...当時巷の噂では、伯爵夫人の底知れぬ贅沢さが夫人を溺愛(できあい)していた夫伯爵を破産に導いて、伯爵の死はおそらく自殺がその真相だろうというもっぱらの取沙汰であったが、それはあまりにも酷に過ぎた穿(うが)ち方にもせよ、派手好きな人一倍勝気で気位の高い夫人の気性からいえば、半分はあるいはその真を衝いていたかも知れぬ...
橘外男 「陰獣トリステサ」
...杭州城内過軍橋(かぐんきょう)の黒珠巷(こくじゅこう)という処に許宣(きょせん)という若い男があったが...
田中貢太郎 「雷峯塔物語」
...旧ベルリンの古めかしい街区のことさらに陋巷(ろうこう)を求めて彷徨(ほうこう)したり...
寺田寅彦 「コーヒー哲学序説」
...清元会終りて後雑沓の巷を歩み...
永井荷風 「断腸亭日乗」
...瞬(またた)く中(うち)に女形(おやま)の振袖(ふりそで)なびく綺羅(きら)音楽の巷(ちまた)になったのかと思うと...
永井荷風 「散柳窓夕栄」
...風流絃歌の巷も今では音楽家と舞踊家との名を争う処で...
永井荷風 「※[#「さんずい+(壥−土へん−厂)」、第3水準1-87-25]東綺譚」
...あちらの修羅の巷では戦(いくさ)がはじまって...
中里介山 「大菩薩峠」
...この巷にきて、これらの光線を見ることは、いつも彼にとっては堪えがたい寥寥(りょうりょう)とした気持に陥らせるのであった...
室生犀星 「幻影の都市」
...幾月も昼間外出せずして終夜なる巷にゆき...
室生犀星 「抒情小曲集」
...華佗巷(くわだこう)は片町であらう...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...戦の巷(ちまた)はおろか...
吉川英治 「三国志」
...乱国の危険な巷(ちまた)に...
吉川英治 「新書太閤記」
...須賀口とは清洲の宿駅でいちばん明るい紅燈(こうとう)の巷(ちまた)である...
吉川英治 「新書太閤記」
...それらの巷(ちまた)の説を綜合してみても...
吉川英治 「新書太閤記」
...北京の巷(ちまた)では花柳(かりゅう)の妓(おんな)までが...
吉川英治 「新・水滸伝」
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