...帝都は今にも革命の巷(ちまた)とならんとする如き混乱に陥った...
内田魯庵 「四十年前」
...この陋巷のどこかに住んでいる筈だった...
海野十三 「共軛回転弾」
...巷の騒音が油然(ゆうぜん)と唸り出すのだ...
谷譲次 「踊る地平線」
...ひかりが掛布の皺を打つたとき寝台はあまりに金の唸きであつた寝台はいきれたつ犬の巣箱の罪をのり超え大空の堅い眼の下に幅びろの青葉をあつめ棄てられた藁の熱を吸ひたちのぼる巷の中に青ぐろい額の上にむらがる蠅のうなりの中に寝台はのど渇き求めたのに求めたのに枯れた葦の葉が短かいので母親は煎薬を煎じに行つた...
富永太郎 「焦燥」
...これは少しく巷の美談めいてくるし...
豊島与志雄 「文学以前」
...門巷蕭条夜色悲 〔門巷(もんこう)は蕭条(しょうじょう)として夜色(やしょく)悲しく声在月前枝(きゅうりゅう)の声(こえ)は月前(げつぜん)の枝(えだ)に在(あ)り誰憐孤帳寒檠下 誰か憐(あわれ)まん孤帳(こちょう)の寒檠(かんけい)の下(もと)に白髪遺臣読楚辞白髪(はくはつ)の遺臣(いしん)の楚辞(そじ)を読(よ)めるを〕といった絶句の如きは今なお牢記(ろうき)して忘れぬものである...
永井荷風 「西瓜」
...Il pleure dans mon curComme il pleut sur la ville......巷に雨の降る如くわが心にも雨ぞ降るとヴェルレーヌが歌つたやうな音楽的な雨ではない...
永井荷風 「花より雨に」
...この根岸の天地が晦冥(かいめい)の巷(ちまた)になる...
中里介山 「大菩薩峠」
...彼は寝たまま朧げに巷の雑音を聞いてゐるので...
原民喜 「透明な輪」
...阿鼻叫喚(あびきょうかん)の巷といってよい...
火野葦平 「花と龍」
...凹巷はそれを持つて来たので...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...遠巷誰家笑語喧...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...巷(ちまた)のうわさや...
吉川英治 「新書太閤記」
...巷間(こうかん)の伝えるところでは...
吉川英治 「新書太閤記」
...前代未聞の醜態を巷(ちまた)に曝(さら)した中にあって...
吉川英治 「新書太閤記」
...やがて満天満地を焦(こ)がす戦炎となろうとするのを――今は巷(ちまた)の声でなく臆測でなく...
吉川英治 「新書太閤記」
...弱肉強食の巷(ちまた)とばかり世間を見るのは偏見(へんけん)であって...
吉川英治 「親鸞」
...ミヤコが戦乱の巷である故にその静まるのを待てと云い出した...
和辻哲郎 「鎖国」
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