...この陋巷(ろうこう)のあちこちから腹の減った連中が駆けよって来た...
海野十三 「共軛回転弾」
...かれらは町の巷とは――森とさえ――そんなに懸けはなれている...
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 「森の生活――ウォールデン――」
...都会は賑やかな忙躁の巷となった...
豊島与志雄 「運命のままに」
...凍てたる夜深の巷を乗り行く時なぞゴム底の足袋はパタパタ音して不愉快極まりなくゴム輪は轍の砂利を輾(きし)る響せざるが故矢張初めの中は乗り心地よろしからず世の中段々いやなものが流行出したりと思いき...
永井荷風 「偏奇館漫録」
...巷に雪のつもるやう憂(うれ)ひはつもるわが胸にあるいはまた巷に雪の消ゆるやう思出は消ゆ痕(あと)もなく………………………とでも吟じたことであろう...
永井荷風 「雪の日」
......
中島敦 「和歌でない歌」
...狭斜(きょうしゃ)の巷(ちまた)を放歌してゆく蕩児です...
浜尾四郎 「死者の権利」
...これは巷のゴシップだが...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...陋巷にさびしく死んでいつたのかも知れない...
正岡容 「異版 浅草燈籠」
...狭い巷(こうじ)に出た...
森鴎外 「ヰタ・セクスアリス」
...外廓の内側に沿える巷石垣の中に作り込めたる龕(がん)に...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...いわゆる巷説もよく弄(もてあそ)ばれる...
吉川英治 「私本太平記」
...都じゅうを馬糞と馬蠅の巷(ちまた)となし...
吉川英治 「私本太平記」
...巷で、介(すけ)に行き会うたとか」「はい」「いつ、どこで」「つい都を離れる前の日ごろ...
吉川英治 「私本太平記」
...戦乱が生んだ餓鬼道(がきどう)の巷(ちまた)では...
吉川英治 「私本太平記」
...巷(ちまた)の悪評は...
吉川英治 「新書太閤記」
...父王昇が巷(ちまた)で零落(れいらく)していた時代の姿を知っているのはいぶかしいと……拙者もじっと彼の面体(めんてい)を見てやりました」「えっ...
吉川英治 「新・水滸伝」
...さらに巷(ちまた)へ拡大した...
吉川英治 「親鸞」
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