...本当にたいへんだったんでしょうな」と苅谷氏は探偵に葉巻の箱を差出しながらいった...
海野十三 「奇賊は支払う」
...警部は自分のシガレット・ケースを青年の前へ差出した...
海野十三 「密林荘事件」
...可相成全速力にて取片附一日も早く御手元へ差出し度と存候...
高浜虚子 「漱石氏と私」
...小林は杉本の方へ差出した...
豊島与志雄 「傷痕の背景」
...白粉のついた冷い額を、差出して、彼女は眼をつぶっている……...
豊島与志雄 「傷痕の背景」
...白紙の上二三センチのところに差出して...
豊島与志雄 「霧の中」
...やがて私へ青い切符を差出した...
豊島与志雄 「二等車に乗る男」
...天一坊は何故(なぜ)か判らなかったが、越前守の言葉が烈しいので、首を差出して、菅笠を覗き込むと「宝沢とは偽り者めッ、それッ」と、叫ぶと、右手で、胸を突いた...
直木三十五 「大岡越前の独立」
...「和田――乳木であろう」と、差出した...
直木三十五 「南国太平記」
...七瀬が金子を差出した時「では...
直木三十五 「南国太平記」
...そして「こういう顔触れじゃ」と、川北の前へ、差出した...
直木三十五 「南国太平記」
...だが、義観に渡すのも、おかしいし、自分で持っている訳にも行かず「牧殿」と、云って、差出した...
直木三十五 「南国太平記」
...お勝手口へこんなものを投(はふ)り込んで行つた者が御座います」と差出したのは...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...何やら書いたものを差出します...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...この事をどう思ふ」平次の差出した手紙を...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...次にこれをその傷口から抜き取って夫の前に差出し...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...京外れで買うた尺八の歌口を嘗め嘗め破れ扇を差出しながら...
夢野久作 「名娼満月」
...そのうえ高氏から約束の誓書をも差出したので...
吉川英治 「私本太平記」
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