...「姐さん……」「はい……」「お前の名は何んと申すか」「……玉(たま)と申しますよ」「お玉だね……玉川の川尻でお玉とは好い名だね...
江見水蔭 「悪因縁の怨」
...壮(わか)い女の死体と抱きあったままでその川尻の海岸にあがって細君(さいくん)の手に引きとられたが...
田中貢太郎 「水郷異聞」
...椹野川尻で鮒釣見習...
種田山頭火 「其中日記」
...早目に昼飯をしまうて椹野川尻に魚釣と出かける...
種田山頭火 「其中日記」
...松莚子竈河岸の八新に岡、川尻、及余の三人を招飲す...
永井荷風 「断腸亭日乗」
...ほこりかも吹きあげたると見るまでに沖邊は闇し磯は白波眞白帆にいなさをうけて川尻ゆ潮の膨れにしきかへる舟いさりぶね眞帆掛けかへるさし潮の潮目搖る波ゆりのぼる見ゆ利根川の冬吐く水は冷たけれどかたへはぬるし潮目搖る波利根川は北風(かたま)いなさの吹き替へにむれてくだる帆つぎてのぼる帆滿潮河口に浸入すれば河水と相衝き小波を揚げて明に一線を畫す...
長塚節 「長塚節歌集 中」
...大川尻の水の上へ...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...彦太郎がふと唐人川尻の土橋を見ると...
火野葦平 「糞尿譚」
...「ともかく川尻のちかくまで行つて見ようよ...
牧野信一 「痴日」
...川尻で中山忠蔵と申しまする...
三好十郎 「天狗外伝 斬られの仙太」
...例の船子(かこ)は「唐泊(からどまり)より川尻押すほどは」と唄(うた)っていた...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...それから川尻角浜ときて...
柳田国男 「雪国の春」
...生田の川尻から御影(みかげ)の浜へわたって...
吉川英治 「私本太平記」
...「空あいも悪いし、金沢からの疲労もあっては、おそらく、津幡に留まることは、確かであろう」氏張も、同様な判断のもとに、その夜は、何ら備えもせず、川尻の陣に、ただ歩哨(ほしょう)だけを、増しておいた...
吉川英治 「新書太閤記」
...川尻方面で大砲の音がとどろいた...
吉川英治 「日本名婦伝」
...わけてこの川尻と...
吉川英治 「宮本武蔵」
...帳場ごしに川尻を指して...
吉川英治 「宮本武蔵」
...――会う機(おり)は、わしら父子(おやこ)が、よいように作って進ぜる)と、丹左衛門のことばに、(なにぶん)と、その日、午(ひる)ごろ飾磨の浦につき、川尻の舟に、お通をやすめ、以前、お通の乳母なる人の家から、何かと物など運ばせて、太郎左衛門船がはいるのを、今か今かと待ちかねていたのだった...
吉川英治 「宮本武蔵」
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