...明日は國に歸れると言ふので勇み勇んで嶮しい高い山路を登つた...
田山花袋 「歸國」
...大平(おほたひら)まで上つて行く嶮しい舊道は...
田山花袋 「日光」
...庭園というよりは嶮しい生垣もしくは土手といいたい一むらの籔地がある...
チェスタートン Chesterton 直木三十五訳 「見えざる人」
...丘の一番嶮しい地点に小さな墓地があって...
チャールズ・ディッケンズ 佐々木直次郎訳 「二都物語」
...細い嶮しい崖径を通る時...
中村地平 「霧の蕃社」
...嶮しい白い山、翡翠の空、羊の切身のやうな土の色、灰色の都市、田舍の赤屋根、寺院の尖塔、サボテンの舞踏、橄欖の群落、エル・グレコの青い繪、ゴヤの黒い繪、さういつたものが限りなく記憶のインデックス・ケイスに詰まつてゐて、何を見てもそれ等のものが比較のために顏をのぞけるのだつたが、さうしてそれが懷かしまれるのだつたが、不思議にも、汽車に乘つてしまふと、そんなものはすべてピレネーの連山と共に遙かの後(うしろ)の方へ後(あと)じさりして、行手のパリの空のみがしきりに氣になりだした...
野上豐一郎 「大戰脱出記」
...これは冗談だとしても」加十は嶮しい小径を下って崖下の空地まで辿りつく...
久生十蘭 「魔都」
...唯嶮しい鋭さが残つてゐた...
北條民雄 「月日」
...嶮しい空を暗い雲が叢立って北へ北へと飛んでいる...
「海流」
...それだけ女の生きる道が嶮しいわけです...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...6195所がわたし共は今嶮しい阪の下に立っています...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...Iは蛾を握つたまま暫く彼の嶮しい顏を眺めてゐた...
横光利一 「蛾はどこにでもゐる」
...しかし、旅籠(はたご)の手代には、山越えの道や、その他のことを聞いたのみで、さり気なくそこを別れて、「お嬢様、今の話の様子では、あの女もまだ遠くには参っておらぬようでござる」「今日いッぱい、足を早めて行ったならば、追いつけるかも知れないね」「ただ、この嶮しい道を、あなた様のそのお優しい足で歩かせるかと思うと、久米之丞は負ぶってでも上げたいように思います」「久米之丞...
吉川英治 「江戸三国志」
...こんな嶮しい山道は...
吉川英治 「三国志」
...彼もかくまで嶮しい所と考えていなかったかもしれない...
吉川英治 「源頼朝」
...あたりを見しても嶮しい山の傾斜のみで...
若山牧水 「樹木とその葉」
...その宿はずれから右手を見下すと其処は思いがけぬ嶮しい崖となっていて丁度崖の下で二つの渓流が落ち合い...
若山牧水 「みなかみ紀行」
...白骨温泉嶮しい崖下の渓間に...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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