...用水が水嵩(みずかさ)増して溢(あふ)るるばかり道へ波を打って...
泉鏡花 「婦系図」
...この三月時分の水源の山の雪がとけて川の水嵩がましてくると...
伊藤野枝 「転機」
...雨に水嵩(みずかさ)の増した小流れの音がちよろ/\としてゐるばかりだ...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...随分嵩張(かさば)ったものでしょうね」「それア相当なもんですなア」と副園長が横合(よこあい)から云った...
海野十三 「爬虫館事件」
...それが常にない院長の不興の嵩(かさ)みにぶつかったりすると...
大阪圭吉 「三狂人」
...費(つひへ)が思つたよりは意外に嵩(かさ)んでゐるのに気が注(つ)いた...
薄田泣菫 「茶話」
...まるで自分が年嵩(としかさ)のような口のきき方をするのである...
谷崎潤一郎 「細雪」
...即ち水嵩ということを問題にする以上...
中谷宇吉郎 「琵琶湖の水」
...嵩(かさ)は大きくなるけれども...
新渡戸稲造 「自警録」
...少し嵩(かさ)にかゝる癖があります...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...その病は嵩(こう)じるばかり...
野村胡堂 「芳年写生帖」
...俺は見た痛手を負へる一頭の野鹿がオリオーンの槍に追はれて薄明(うすあけ)の山頂(みね)を走れるを――あゝ されど古人(いにしへびと)の嘆きのまゝに影の猟人なり影の野獣なり日照りつゞきで小川の水嵩が――その夕暮時に...
牧野信一 「バラルダ物語」
...向ふの悪る騒ぎは益々嵩じて...
牧野信一 「病状」
...女の私は嵩だかなのよ...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...彼等の嵩張つた食卓はその室一杯を塞げてゐた...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
...雨ふり揚句(あげく)の水嵩(みずかさ)が増した時などには...
吉川英治 「魚紋」
...いまなお刻々水嵩(みずかさ)を増している...
吉川英治 「新書太閤記」
...が嵩(かう)じてたうとう此處まで引きずられて來たのださうだ...
若山牧水 「樹木とその葉」
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