...屹度私に五十銭銀貨を一枚宛呉れたものである...
石川啄木 「刑余の叔父」
...土間取附(とっつき)の急な階子段(はしごだん)を屹(きっ)と仰いで...
泉鏡花 「薄紅梅」
...私は波多江に行つてテニスが出来たりオルガンを弾ひたりすることが出来るのがうれしいので一週に一度や二度は屹度(きっと)あそびにゆきました...
伊藤野枝 「嘘言と云ふことに就いての追想」
...槍と同形の峰が二百尺ばかりも屹立(つった)っている...
鵜殿正雄 「穂高岳槍ヶ岳縦走記」
...屹度(きつと)立派な中隊が出来る...
薄田泣菫 「茶話」
...従つて市吏員の生活も屹度楽になるといふのだ...
薄田泣菫 「茶話」
...スッキリとした姿!屹(き)っと見据えていた切れ長な眸許(めもと)……口惜(くや)しそうに涙ぐみながら...
橘外男 「墓が呼んでいる」
...女から明日の晩の汽車でいよ/\出発することになつたから父親がゐても好いから屹と来てくれと云つて来た...
田中貢太郎 「水郷異聞」
...あるひはまた浅草本願寺の屹立(きつりつ)せる屋根を描きたる図中その瓦の色と同様なる藍と緑を以て屋根瓦を修繕する小さき人物を描きたるが如き...
永井荷風 「江戸芸術論」
...おふさが此の土手を北へ通ふ時は屹度器量一杯の支度である...
長塚節 「おふさ」
...彼(かれ)は屹度(きつと)其(そ)の灰(はひ)を掻(か)つ掃(ぱ)いで去(さ)つたのである...
長塚節 「土」
...明日(あした)か明後日(あさつて)屹度伺ひますからつて」「はあ...
夏目漱石 「それから」
...思い切ってお引受け申しましょう」屹(きっ)と挙げた平次の秀麗な面(おもて)...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...何にか不足でもあると言はれるのか」支配人の半九郎は屹(きつ)となりました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...紡錘(つむ)を持つて糸車のまへに坐るくらゐが分相応だよ! あれあ屹度...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 前篇」
...稍屹ツとなつて念をおすと...
牧野信一 「センチメンタル・ドライヴ」
...さあ、どうぞ――」と、いうような言葉がまじるのを聴くと、広海屋は、屹(きっ)と、鋭い目つきをして、眉根をぐっと引き寄せた...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...火口(ひぐち)を屹(きっ)と覗いた若者...
吉川英治 「増長天王」
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