...所は山深い箱根のことです...
海野十三 「崩れる鬼影」
...山深い一軒茶屋から拾ひ出してきた喜平のほまれを思ふと...
薄田泣菫 「小壺狩」
...山深い一軒茶屋からこんな名器を見つけ出して...
薄田泣菫 「小壺狩」
...それなのにお前さんが私を羨むなんて……ひとりしづか私は山深い湿地に生れて...
薄田泣菫 「独楽園」
...母は山深い故郷で...
橘外男 「仁王門」
...たゞ山深いところといふのをあてに...
豊島与志雄 「シャボン玉」
...こんな山深いところにいてさえ...
中里介山 「大菩薩峠」
...山深い香りがする...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...信州の山深い古里を持つかの女も茶色のマントをふくらませいつもの白い歯で叫んだのです...
林芙美子 「新版 放浪記」
...南北三里二十七町のこの山深い島に...
林芙美子 「屋久島紀行」
...こんな山深いところで辛抱がお出来になるかしら」「出来ますとも」「口で言うだけ……化かされるのは...
久生十蘭 「生霊」
...初夏の山深い処で直ちにその啼くのを聞いたら...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...かつてその朝倉さんの家族は私のゐる奧多摩の峽谷からさらに山深い古寺に疎開してゐたことがあり...
吉川英治 「折々の記」
...あれよりもっと山深い木挽(こびき)の小屋に兵火の難を避けておられました」「それはよかった」高氏はしんから言った...
吉川英治 「私本太平記」
...山深い尼寺に、尼よりもさびしく暮していたが、いつか木樵(きこり)や里の者も、素性を知って、「叛逆人の娘じゃ」「死にもせで、生きのびていることよ」と、垣の外を覗いて通ったりした...
吉川英治 「日本名婦伝」
...少し山深い所に行けば大抵の所ではこのうちのどれかは聞ける...
若山牧水 「樹木とその葉」
...まぼろしのやうに私は山深い奥に流れてをるちひさい渓のすがたを瞳の底に...
若山牧水 「渓をおもふ」
...どうせ山深い道を通るのだから平湯までは案内者を伴れなくてはならぬが...
若山牧水 「みなかみ紀行」
便利!手書き漢字入力検索