...山々峰々が碧瑠璃の虚空へ宛然(さながら)定規など置いたように劃然と際立って聳えて見える...
飯田蛇笏 「茸をたずねる」
...その赤くなったり黄色くなったりして山々を染めている景色は燈明(とうみょう)の消えんとする前に明るい光を放つのと同じように...
高浜虚子 「俳句とはどんなものか」
...海岸線も山々の所在もボヤけて...
徳永直 「光をかかぐる人々」
...名人の眞に名人たる所以を明らかにしたいのは山々ながら...
中島敦 「名人傳」
...小寒く、さわやかで、もの懐かしくもあり、なにかしら愁い心をさえ誘うような……おのづから香に匂う春の山気かなやがて、軒端や木末から、点滴が落ちはじめ、四方の山々が、淡すり霞だつ...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...冬ごとに北海道の山々を埋めて...
中谷宇吉郎 「雪の化石1」
...まだ山々の紅葉も淡く...
野村胡堂 「天保の飛行術」
...月冴ゆ、裸で山々を眺め、腰を下せば、ベンチの夜露でびっしょり猿股を濡らした...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...トウベツの山々を指さして云った...
本庄陸男 「石狩川」
...朝ともなつて麗かな陽が紫色の山々を染め出してゐる日和を見定めると...
牧野信一 「山峡の凧」
...震える山々が火を噴く時に酔ったもののように揺れ止まぬ雪ふかい連山に似て...
フィオナ・マクラウド Fiona Macleod 松村みね子訳 「剣のうた」
...そこが深田氏の『わが山々』という近刊の登山記録集が...
正宗白鳥 「登山趣味」
...この人々を子息光尚(みつひさ)の保護のために残しておきたいことは山々であった...
森鴎外 「阿部一族」
...あの家々がなくばあの山々はなく...
柳宗悦 「全羅紀行」
...ついで山々亭有人の条野さん...
山本笑月 「明治世相百話」
...彼は十数日の間深い山々を廻っていた...
横光利一 「日輪」
...西には信濃(しなの)の山々...
吉川英治 「神州天馬侠」
...この山々の見ゆる限りはすべてC―家の所有である...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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