...素振(そぶり)、気振(けぶり)が精一杯、心は通わしたでしょうのに、普通(なみ)の人より、色も、恋も、百層倍、御存じの貴方でいて、些(ちっ)とも汲んでお遣んなさらない!――否(いいえ)、小雪さんの心は、よく私が存じております...
泉鏡花 「浮舟」
...知らん間(ま)に身代(しんだい)が三層(ぞう)倍にも五層倍にもなつたアるちうて...
宇野浩二 「「鱧の皮 他五篇」解説」
...幾層倍も気味悪く...
江戸川乱歩 「悪魔の紋章」
...単なる窃盗よりは幾層倍も危険な仕事の様に見える...
江戸川乱歩 「心理試験」
...それを信じるよりも自分の思っている方を信ずるのが何層倍も真実らしく...
相馬泰三 「田舎医師の子」
...人を幾層倍も強く驚愕させ...
太宰治 「東京八景」
...日本人よりも幾層倍か虚栄心の熾烈な仏蘭西人の恥ずべき弱点として...
辰野隆 「芸術統制是非」
...生きた雇人等よりは何層倍も早く...
チェスタートン Chesterton 直木三十五訳 「見えざる人」
...わしが始めて洋行した時分の事を思えば船は三層倍も大きいし...
永井荷風 「春雨の夜」
...私自身が何層倍(なんぞうばい)歯痒い思いを重ねて来たか知れないくらいです...
夏目漱石 「こころ」
...この三層倍もでっかい穴を明ける」どうも少し調子が変です...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...年頃(としごろ)の娘たちよりは百層倍も可愛らしかった...
プーシキン Alexander S Pushkin 岡本綺堂訳 「世界怪談名作集」
...その時九つの赤い火焔は九層倍にもひろがり...
フィオナ・マクラウド Fiona Macleod 松村みね子訳 「琴」
...その困難さも幾層倍かになっているに違いない」彼は立停って空を見あげた...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...今の社会主義やデモクラシーなんぞよりも数層倍恐ろしい破壊思想じゃ」後藤新平「ふうむ...
夢野久作 「近世快人伝」
...今の林君の話のスカン何とかチュウ処の鯨よりも日本の鯨の新婚旅行の涎の方が何層倍...
夢野久作 「近世快人伝」
...ダイナマイトに数十層倍する猛烈な液体火薬を作り出す事に成功した...
夢野久作 「超人鬚野博士」
...前に何層倍した熱烈な決心をもってこの実験を突き貫(ぬ)いてくれよう...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
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