...身に覆ひかゝつてゐる何かの屈托に就いて思ひ沈んでゐるのであらう...
阿部次郎 「三太郎の日記 第三」
...屈托のないにこにこした顔で...
豊島与志雄 「立枯れ」
...俺は何にも笑ひたかないたゞこの不運に屈托だけはないやうに!永遠また見付かつた...
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー Jean Nicolas Arthur Rimbaud 中原中也訳 「ランボオ詩集」
...過去一年の間いまだかつてそんな事に屈托(くったく)した覚えもなく...
夏目漱石 「こころ」
...そればかりに屈托(くったく)していたから...
夏目漱石 「こころ」
...僕はもうあの事について叔父さんの心配なさるほど屈托(くったく)していないつもりですから安心して下さい...
夏目漱石 「彼岸過迄」
...心に屈托がないからでございます...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...いつもならば泡を飛ばして口論もすべき直次郎が無言に終りし屈托の程は其夜お蘭さまがお膝もとに...
一葉 「暗夜」
...さういふ和尚さんを相手に何の屈托もなく春の一日を遊び暮す作者の心持...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...それで文三は今又屈托(くったく)の人と為(な)ッているので...
二葉亭四迷 「浮雲」
...」そんなことを凡そ屈托のない巻舌の英語で...
牧野信一 「熱海線私語」
...考へはないか?」隆太郎は全くそれより他に屈托もなく...
牧野信一 「海路」
...当分の間は何かの遊びごとにでも屈托しなければ...
牧野信一 「昔の歌留多」
...そうでしょう? 勿論そうだからと云って屈托もしないけれど...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...女は平穏無事に小さな世事に屈托(くったく)し...
柳田国男 「木綿以前の事」
...太い目元に皺(しわ)の寄る屈托(くつたく)のない笑顔して...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集」
...そして屈托事でもあると「靜かな所で...
吉川英治 「折々の記」
...屈托(くったく)なくたえず微笑をたたえている...
吉川英治 「新書太閤記」
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