...身に覆ひかゝつてゐる何かの屈托に就いて思ひ沈んでゐるのであらう...
阿部次郎 「三太郎の日記 第三」
...それより屈托する慾望があるものか...
千家元麿 「自分は見た」
...しかも仕事が非常に早く屈托もなく...
高村光雲 「幕末維新懐古談」
...屈托のないにこにこした顔で...
豊島与志雄 「立枯れ」
...心の屈托を医するためには...
中里介山 「大菩薩峠」
...屍体のことなどに屈托しては居られなかったに相違ない...
中山太郎 「本朝変態葬礼史」
...屈托気(くったくげ)にふらりふらりと揺れる...
夏目漱石 「草枕」
...けれども運動の不足と、睡眠の不規則と、それから、脳の屈托とで、排泄機能に変化を起した...
夏目漱石 「それから」
...こんなに屈托した顔を一度も見せたことのない夫だったのです...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...ひどく屈托(くつたく)して居るのです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...さういふ和尚さんを相手に何の屈托もなく春の一日を遊び暮す作者の心持...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...お内儀(かみ)さんの云うことを単純に信じて来た彼は屈托(くったく)なげに云った...
本庄陸男 「石狩川」
...決して事に屈托を持たぬ朗らかな楽天家ぞろひだつた...
牧野信一 「円卓子での話」
...屈托した不平の呟きとせずこの際...
宮本百合子 「現実に立って」
...母は勝手元に火焚(ひた)き水汲(みずく)みまたは片付け物に屈托(くったく)をしている間...
柳田國男 「野草雑記・野鳥雑記」
...首都の鼠族ほど食糧に屈托(くったく)せぬものはないといってよい...
柳田國男 「野草雑記・野鳥雑記」
...そして屈托事でもあると「靜かな所で...
吉川英治 「折々の記」
...迷いと屈托とに遅滞しているゆえをもって...
和辻哲郎 「生きること作ること」
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