...七尺もあらんと思うほどのものが...
井上円了 「おばけの正体」
...雉驚いて空に上ること三四尺...
大町桂月 「常磐の山水」
...けれども、伯耆国(ほうきのくに)の淀江(よどえ)村というところに住んでいる一老翁が、自分の庭の池に子供の時分から一匹の山椒魚を飼って置いた、それが六十年余も経って、いまでは立派に一丈以上の大山椒魚になって、時々水面に頭を出すが、その頭の幅だけでも大変なもので、幅三尺、荘厳ですなあ、身のたけ一丈、もっとも、この老翁は、実にずるいじいさんで、池の水を必要以上に濁らせて、水面には睡蓮(すいれん)をいっぱいはびこらせて、その山椒魚の姿を誰にも見せないようにたくらんで、そうして自分ひとりで頭の幅三尺、身のたけ一丈、と力んでいるのだそうで、それは或る学者の報告書にも見えていた事でございますが、その学者は、わざわざ伯耆国淀江村まで出かけて行ってその老翁に逢い、もし本当に一丈あるんだったら、よほど高い金を出して買ってもよろしい、ひとめ見せてくれ、と懇願したが、老翁はにやりと笑って、いれものを持って来たか、と言ったそうで、実に不愉快、その学者も「面妖(めんよう)の老頭にして、いかぬ老頭なり」とその報告書にしるしてありますくらいで、地団駄(じだんだ)踏んでくやしがった様が、その一句に依(よ)っても十分に察知できるのであります...
太宰治 「黄村先生言行録」
...野と丘と白樺の林と斑雪(まだらゆき)の長尺フィルムだった...
谷譲次 「踊る地平線」
...その病室の外の廊下は普通の住宅のそれのような三尺幅のものであり...
谷崎潤一郎 「細雪」
...「縹渺(ひょうびょう)」ここにおいて肉体は寸尺の活動の余地を有しないが...
永井隆 「長崎の鐘」
...不意に飛び出したこの六尺豊かの壮漢が...
中里介山 「大菩薩峠」
...女は莖を切り畢ると後へもどつて掘つてある大きな土の塊を兩手で二尺許り揚げてどさりと打ちつける...
長塚節 「寫生斷片」
...母の手紙は六尺以上もあるのだが僕にはとてもそんな芸は出来んから...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...双子縞の素袷に前下りの三尺帯のままながら...
野村胡堂 「悪人の娘」
...さすがは錢形親分だ」「馬鹿だなア」「その三尺の持主は...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...尺八を稽古しなきや...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...穴から一尺ほど離れた下水へかけて...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...何尺と云う高さの足駄をお穿(はき)なさっても...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...安井三尺草頭(かしら)を埋む」などと冷やかされた...
森鴎外 「安井夫人」
...一尺以上の法螺の貝など山伏のほかに見た人もあるまいと思わるる珍品...
山本笑月 「明治世相百話」
...槍は切りつめて誰の手にあるのも九尺であった...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
...尺金(さしがね)一本(ぽん)さし込んでいれば...
吉川英治 「鳴門秘帖」
便利!手書き漢字入力検索