...尤(もつと)もアナトオル・フランスの書いた物によると...
芥川龍之介 「煙草と悪魔」
...尤(もっと)も昔は樹木も茂り...
芥川龍之介 「本所両国」
...尤もこの頃は、あのこつ/\と丹念に働く兄の鶴吉の顔にも快(こゝろよ)からぬ黒ずんだ影が浮んだ...
有島武郎 「お末の死」
...著者のひが目には『あこがれ』尤(もつと)も目につく...
石川啄木 「閑天地」
...尤(もっと)も、保子さんが私に持つてゐらつしやるプレジユデイスは可なり根深いものであるかも知れませんけれども、この私のシンセリテイとそれとが、どちらが力強いものであるかを見たい気も致します...
伊藤野枝 「書簡 大杉栄宛」
...尤も、人間の本性は、この腦髓における同じ運動が精神に何か他のものを示すやうに、すなはちあるひはこの運動そのものを、腦髓にある限りにおいて、あるひは足にある限りにおいて、あるひは兩者の中間の場所のうちのどこかにある限りにおいて、示すやうに、あるひは最後に何かもつと他のものを示すやうに、神によつて仕組まれることができたであらう...
デカルト Renati Des-Cartes 三木清訳 「省察」
...尤も其が学問性を完全には規定し尽し得ないからと云ってそう云うのではない...
戸坂潤 「科学方法論」
...つまり変に尤もらしい口吻をかりずに卒直に云えば...
戸坂潤 「現代日本の思想対立」
...尤も広田首相が排撃を声明した自由主義なるものがなにを意味するのか...
戸坂潤 「現代日本の思想対立」
...尤も従来の日本語の習慣によると...
戸坂潤 「認識論としての文芸学」
...天下を取ることはできませんね――それが一つの勢力ではありませんか」「御尤(ごもっと)も」不破の関守氏がお銀様の見識に...
中里介山 「大菩薩峠」
...お腹立は御尤(ごもっと)もですが...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...尤も二百も祝儀を出しや...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...「旦那、八五郎の奴がこんなことを申しますが、どうしたものでございませう」打ち明けた相談をする平次を、笹野新三郎は頼もしく見やりながら、「一應尤もだが、天下靜謐(せいひつ)の折柄、無理な詮索(せんさく)をして江戸から切支丹教徒を擧げるのは面白くない...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...這ひ出せば痕(あと)が殘る筈だ」平次の注意は尤もでした...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...尤も昨夜喜次郎は江戸に居なかつたことは確かで...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...尤(もつと)も構内俥夫の中でも私の家に味方する者も少数はあつたけれど...
宮地嘉六 「ある職工の手記」
...いま将(は)た誰れをか尤(とが)め...
吉田松陰 「留魂録」
便利!手書き漢字入力検索