...畳も小庭の雪影に霞を敷いた...
泉鏡花 「薄紅梅」
...同じ板塀を前にした小庭との堺には...
鈴木三重吉 「女の子」
...自分は、わが鳥を日向に出すために、小庭に下りて、それをたわ/\した、無花果の眞ん中の枝に吊した...
鈴木三重吉 「女の子」
...縁側に出て見ると小庭を囲う低い土塀(どべい)を越して一面の青田が見える...
寺田寅彦 「竜舌蘭」
...駝師(うえきや)が剪裁(せんさい)の手を尽した小庭を通って...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...一小庭(こにわ)を走る落葉(おちば)の響(ひびき)...
永井荷風 「狐」
...古ぼけた葭戸(よしど)を立てた縁側の外(そと)には小庭(こにわ)があるのやらないのやら分らぬほどな闇(やみ)の中に軒の風鈴(ふうりん)が淋(さび)しく鳴り虫が静(しずか)に鳴いている...
永井荷風 「すみだ川」
...石燈籠(いしどうろう)の火の消残る小庭(こにわ)のすみずみまで隈(くま)なく照しているように思われた...
永井荷風 「散柳窓夕栄」
...懐手をして縁へ腰掛けて淋しい小庭を見廻はす...
中谷宇吉郎 「『団栗』のことなど」
...外で下駄をぬいでくるほど小庭の中はきれいで...
長谷川時雨 「神田附木店」
...粗末な生垣(いけがき)で囲まれた二坪ほどの小庭には...
原民喜 「苦しく美しき夏」
...この服が広間や食堂や小庭の概略を語り...
バルザック Honore de Balzac 中島英之訳 「ゴリオ爺さん」
...暗い小庭と不潔な露地(ろじ)が網の目のように入りこんでいる陰惨な一劃(いっかく)である...
牧逸馬 「女肉を料理する男」
...前述の金車なども猫の額ほどの小庭に...
正岡容 「寄席風流」
...落葉や鷄(とり)の糞で汚れた小庭へ下りて久し振りで築山へも登つたが...
正宗白鳥 「入江のほとり」
...どれにも竹垣を結い廻(めぐ)らした小庭が附いている...
森鴎外 「ヰタ・セクスアリス」
...彼女は小庭を通り拔けた...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
...わずか四間だが、小庭もあり、まだ新堀も埋め立てられない頃の柳並木も近く、父も母も、やっとここでは、やや世間なみの暮らしに、ひと息つけたことと思う...
吉川英治 「忘れ残りの記」
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