...寸時に振り返ったら、自分一人になっていた...
...あの人は、寸時ためらわずに行動する...
...寸時の隙に、彼はドアを開けて逃げ出した...
...事故が起こったとき、寸時の判断が命を救うこともある...
...彼女の演技は、寸時の表情の変化やしぐさにも表れている...
...寸時(いっとき)もうかうかと遊(あそ)んでは居(お)りませぬ...
浅野和三郎 「霊界通信 小桜姫物語」
...彼には伯爵令嬢花園京子という寸時も忘れ難い人がある為に...
江戸川乱歩 「恐怖王」
...つねに吾人を刺衝(ししょう)して寸時も止(とど)まらず...
徳富蘇峰 「将来の日本」
...寸時の躊躇の後、私は手探り足探りで、窓の方へ近づいて行った...
豊島与志雄 「囚われ人」
...さば雲もろとも融けること、――すがすがしさにうべなはれ、曙(あけぼの)が、森に満たするみづみづし菫の上に息絶ゆること!恥刃(は)が脳漿を切らないかぎり、白くて緑(あを)くて脂(あぶら)ぎつたるこのムツとするお荷物のさつぱり致そう筈もない……(あゝ、奴は切らなけあなるまいに、その鼻、その脣(くち)、その耳をその腹も! すばらしや、脚も棄てなけあなるまいに!)だが、いや、確かに頭に刃、脇に砂礫(こいし)を、腸に火を加へぬかぎりは、寸時たりと、五月蠅((うるさ))い子供の此ン畜生が、ちよこまかと謀反気やめることもないモン・ロシウの猫のやう、何処(どこ)も彼処(かしこ)も臭くする!――だが死の時には、神様よ、なんとか祈りも出ますやう……若夫婦部屋は濃藍の空に向つて開かれてゐる...
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー Jean Nicolas Arthur Rimbaud 中原中也訳 「ランボオ詩集」
...はらわたもひやつく木曾の清水かな妻籠(つまご)通り過ぐれば三日の間寸時も離れず馴れむつびし岐蘇(きそ)河に別れ行く...
正岡子規 「かけはしの記」
...病人が人恋しさうに心細く感じて居るやうだと思へば自分は寸時もその側を離れずに居る...
正岡子規 「病牀六尺」
...その間寸時も休む事なし...
正岡子規 「明治卅三年十月十五日記事」
...しかしその勞働は寸時の休みもなく身體の續く限り...
横光利一 「悲しみの代價」
...寸時も生々躍動の前進を怠ってはならない...
吉川英治 「三国志」
...寸時も天子のお側を離るることなからん...
吉川英治 「三国志」
...小宰相ずれに帝の御心を寸時でもしびれさせておくなどは...
吉川英治 「私本太平記」
...寸時もはやく家康公(いえやすこう)へおとどけあるが上分別(じょうふんべつ)とこころえます」「おお...
吉川英治 「神州天馬侠」
...寸時、別れに来たのだ」藤吉郎は奥へ坐っていう...
吉川英治 「新書太閤記」
...そしてややしばし、返辞もして来なかったが、やがて、城門の一方を少しひらいて、「御老職の藤掛(ふじかけ)三河守どのでよろしければ、寸時、お眼にかかってみようと仰せられるが、それでよろしくば」と、中へ促(うなが)し、なおつけ加えて、「御主君長政様には断じてお眼どおりかないませぬぞ」と、念を押した...
吉川英治 「新書太閤記」
...寸時も一道に安まってはいなかった...
吉川英治 「新書太閤記」
...寸時でも秀吉の側を離れては恥辱(ちじょく)とする小姓組のあいだに...
吉川英治 「新書太閤記」
...湯柄杓(ゆびしゃく)で寸時の渇(かつ)を医(いや)したぐらいで...
吉川英治 「新書太閤記」
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